クレディセゾン・林野会長 顧客中心視点で新市場の創出を

パンデミック下の緊急事態宣言が解除されるに伴い、世界の経済社会は失速から立ち直ることが求められる。クレジットカードビジネスにおいても、顧客中心視点での「満足と支持」が得られる戦略を実行することが重要となる。

林野 宏(クレディセゾン 代表取締役会長CEO)

イノベーション待望期の
パンデミック発生

21世紀の企業経営の中核戦略では「グローバル化」「デジタル化」そしてあらゆる事業・商品・サービスの「イノベーション」が必要なタイミングでパンデミックが発生した。各国が流行の連鎖を断ち切る為「ヒト・モノ・カネ」の流通を停止して「鎖国状態」を生み出した。我が国も緊急事態宣言により学校をはじめ、遊園地まで閉鎖状態となり外出禁止が前提となった。人々は、連日のマスメディアの恐怖心に操られ最悪の状況に追い込まれたと言ってよいが 先進諸国は経済失速の影響が凄まじく急速に解除に向かうと思われる。我が国も追随する。

仕事、会議はリモートで行われ、結果として本当の「働き方改革」が実現することになる。これを機会に高度成長期の二次産業を中心とした20世紀の価値観は変化せざるを得ない。ポスト・コロナとは何か?①働き方改革とデジタル化の促進、②顧客サービスの在り方とスマホの活用、③新しいマーケット創造であると思う。「顧客を中心」に置き、その「満足と支持」が得られる戦略を実行するしかない。

コロナの出現と
クレジットカード業界

クレジットカードビジネスでコロナの出現により変わったことは何か?

クレディセゾン(以下、当社)の取扱高は前年比で見ると1月105.8% 2月107.8% 3月93.8% 4月78.2% となっている。当社加盟店業態別取扱高前年比では、表の通り全体で 1月104% 3月90% 4月65% と急激に数値が低下した。業態別で見るとショッピングセンター16%、百貨店27%、ファッション店舗40%であり コンビニ、家電量販店は90%と善戦している。一方 前年を2桁以上、上回っているのは、量販店、通販・EC、スーパー、生協等である。書籍・音楽は142%と傑出している。絶望的な業態としては、旅行・交通、宿泊、飲食等、で今後も自粛を継続すれば、倒産が続出する。この傾向は5月中旬迄は更に悪化し厳しい結果となり 失業者と倒産件数が急増する為、不良債権の発生に繋がる。

表 コロナの消費への影響

出典:筆者作成

 

今回のような非常事態がなければ我が国に在宅勤務やテレワークが普及するにはかなりの時間を要したと思われる。日本人の出社美徳が崩れ 残業の習慣も破壊される。一方、働けない人達にも働く機会が生まれる。出勤、出張に要する「時間とコスト」は軽減されるがコミュニケーションはオンラインを通じた無機質なものへと変化する。人は時間効率を重視し 物理的空間に対しても異なった価値観に変化していく。オフィスの集中が崩れフリーアドレス志向や大都市から職住近接の地方への分散の流れも加速するのではないか。デジタル化が進捗すれば労働難易度が明確になり、失業との関連も含めて これは困った現象であるが賃金格差は拡大する。

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