Jリーグ社会連携対決 川崎フロンターレ vs.北海道コンサドーレ札幌

地域に根ざすJリーグ各クラブは、様々なホームタウン活動を行っているが、最近では「社会連携活動(シャレン)」として社会課題の解決という視点も加えている。地域貢献度の高い2クラブの動向を見る。

Jリーグ・クラブチームの地域貢献度ツートップ

1993年のJリーグ発足から26年。今や子供が就きたい職業として常に「サッカー選手」が上位に入るほど、サッカーは国民的な人気スポーツとして定着した。欧州の地域密着型クラブチームをモデルとしてジュニア育成にも力を入れ、地域でクラブを育てる手法が実を結んだということだ。全国55のJリーグクラブチームは地域に根ざした様々な貢献活動を日常的に行っており、学校や介護施設訪問をはじめとするそのホームタウン活動は年間20,000回に及ぶ。

中でも川崎フロンターレは、Jリーグのスタジアム観戦者調査で9年連続して地域貢献度第1位に輝く。巡回サッカー教室などを通じて年間15,000名を指導、指導者向け講習会といったスポーツ振興・育成活動の他、15歳〜78歳まで400名のボランティアを登録するなど、サポーターとの結束は固い。

地域貢献度で川崎に続くのは北海道コンサドーレ札幌だ。年間20校以上の学校訪問や、サッカーと食育を組み合わせた教室の開催、「コンサ百年の森づくり」や、小学生の環境意識時向上を目指したサッカー大会など、その地域貢献活動は幅広い。

Jリーグでは今、そうしたホームタウン活動の延長線上に、新たな手法による社会貢献をスタートさせている。Jリーグの社会連携活動、通称「シャレン」だ。Jリーグおよびそのクラブチームが、地域の人や企業・団体、自治体、学校などと連携して、教育、ダイバーシティ、まちづくり、健康、世代間交流など、より広い視野から、さまざまな社会課題の解決に向けて取り組む活動で、「Jリーグをつかおう」というスローガンのもと、各クラブの持てるリソースを地域のために活用するアイデアを募る。川崎が障がい者がスタジアムで就労体験ができる場を提供したり、札幌が町内会の応援大使として選手11名を派遣するなど、シャレンの具体的な活動は既に始まっている。

シャレンは、Jリーグ発足当時にはほとんどなかったNPO法人などのソーシャルビジネスが広がりを見せる今この時代に合わせて、Jリーグの地域貢献活動をバージョンアップしようとする試みと言える。社会課題と向き合う組織・団体をはじめ、より多様なステークホルダーとの価値共創を目指すシャレンが、今後どのような意義ある成果をもたらすかに注目したい。

両クラブ・運営会社概要

川崎フロンターレ

設立 1996年11月
所在地 神奈川県川崎市
代表 藁科 義弘(代表取締役社長)
資本金 3億4,938万円
主な株主 味の素、川崎市、川崎信用金庫、昭和電工、JXTG
エネルギー、富士通、 富士電機 など36社
ホームタウン 川崎市
ホームグラウンド 川崎市営等々力陸上競技場(川崎市中原区)
チーム名の由来 イタリア語の「正面」。最前線で挑戦し続ける姿勢を表現

出典:同社ホームページ他

 

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