2019年7月号
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社会を変える構想とデザイン

2025大阪「SDGs万博」構想 新しい産業・教育・社会のデザイン

竹安 聡(パナソニック 執行役員、事業構想大学院大学 教授)、東 英弥(学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学 理事長)

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SDGs(持続可能な開発目標)で実現する未来に向けて、日々理解と関心が高まっている。SDGsと事業経営の関係、新しい教育のあり方を軸に、大きな契機と成り得る2025年の大阪・関西万博を“SDGs万博”と掲げ、具体策と実行に向けた道筋を描く。

ウォーターフロントに位置する人工島・夢洲(ゆめしま)が、大阪・関西万博の会場となる

事業構想大学院大学は、SDGsの研究、書籍出版を行い、企業、大学、自治体の方々とSDGs研究会を進めています。本学の教授であるパナソニックの竹安執行役員と学校法人先端教育機構の東理事長が、研究の未来と大阪・関西万博に向けた提言を語ります。

社会を変えるデザイン学

竹安 これまでブランド戦略やCSR(企業の社会的責任)に関わってきましたが、SDGsについては様々な側面から社会を変えるキーワードとして取り組んでいく時が来たと考えています。社会貢献的な市民活動の取り組みは大変重要ですが、これからは、事業経営の中でSDGsとどう向き合って行くかをさらに議論する必要に迫られています。

竹安 聡(パナソニック 執行役員 事業構想大学院大学 教授)

東 環境と哲学の雑誌「環境会議」「人間会議」を20年程前に創刊し、社会のあるべき姿を志向してきましたが、SDGsの流れによって、産官学あらゆる立場の人々が共に考える環境が整ってきたと感じます。

東 英弥(学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学 理事長)

竹安 事業経営のKPI(重要業績評価指標)としてSDGsを活用している先進的な企業もありますが、まだ具体的な成果を示せる代表例は少ないのが現状です。

東 高等教育機関においても、SDGsを軸にしたカリキュラム開発や教育の場の提供はこれからの状況です。専門性を備えた先進的な研究者が個々に発信を始められていますので、SDGsを社会を変える学問として、総合的に構築できればと考えています。

竹安 社会を変えるデザイン学ですね。若い世代を対象にした意識調査を見ると、かつてのような上昇志向は弱まり、社会貢献的な活動や日常の暮らしの充実を優先する傾向が見られます。若い世代からSDGsを理解して行動する人材が生まれてくるのは明白です。教育は待ったなしではないでしょうか。

東 企業がSDGsをKPIにすれば、人材育成とあいまって、入口と出口が整います。高等教育機関と産業界の情報共有と創発が、喫緊のこととなってきました。社会課題の発見や解決に自らの力を活かしたいと考える若者が、その関心事によって、適した会社を選ぶ事になれば、ミスマッチも減少し、産業界にとっても有益です。

竹安 例えば、貧困の根絶、食の安全、海の豊かさへの貢献など、企業理念や事業特性に基づく取り組みを採用時に特徴的に打ち出されると、学生にもわかりやすく、動機も明解になります。3人に1人は就社3年以内に会社を辞めてしまう現代ですから、両者の為になります。

サイモン・シネック氏が提唱されたゴールデンサークルという考えがあります(下図参照)。事業を行う際に、真ん中のWhy、つまり「なぜその事業をするのか」から考える必要があるということです。パッションやミッション、社会的使命がベースにあり、それをどのような手段で実現するかがHow。そしていちばん外側に具体的な商品やサービスであるWhatがあります。我々は常日頃、Whatのところで議論しがちですが、そもそもなぜWhatが生まれてきたのかを互いに確認することが大切です。

サイモン・シネック「ゴールデンサークル理論」

 

SDGsと事業を語る上でも同様のことが言えます。EV(電気自動車)や太陽電池という商品を例にとると、まず脱炭素化というWhyがあり、次に再生可能エネルギーの普及というHowがある、ということです。

東 SDGsに知見のある研究者がその重要性にいち早く気づき、行動を始めておられますが、関わる領域は広いため、歴史文献、論文、そして令和で話題になった万葉集のような歌集や随筆からも、多くの発見があるでしょう。多様な接点から興味を持った企業人も学生も、積極的に学問や研究に励むチャンスです。

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