SDGsで地域活性 新国富指標で「まちの豊かさ」を問い直す

「新国富指標」に関し概説する馬奈木教授

日本学術会議若手アカデミーは、1月15日(火)、アクロス福岡(福岡市中央区天神)において九州大学都市研究センター、凸版印刷、事業構想大学院大学SDGs総研との共催で、「SDGsで地域活性」をテーマにシンポジウムを開催した。

「SDGs(持続可能な開発目標)」とは、環境問題をはじめ世界が直面する課題に対して2030年までに達成すべき17の国際目標であり、2016年から全世界で取組期間が始まった。特に昨年2018年には、ニューヨークで開催のハイレベル政治フォーラム(HLPF)で自治体向けの分科会が設けられるなど、自治体や企業における「ローカライズ」と「実践」とが重視され、日本でも内閣府によるSDGs未来都市などの選定が進んでいる。

パネルは岸村顕広氏と馬奈木俊介氏(共に九州大学大学院工学研究院)の企画により、大きく2部から構成。第1部は「豊かなまちづくりに向けた学術」と題し、地理学・人類学などを含む研究者5名が登壇。学際性を重視する若手アカデミーの課題意識も反映し、地域活性化に向けた学術と社会の接点につき議論が交わされた。

多様な価値を総合的に評価
新国富指標の可能性

SDGsにある17の目標に込められた異なる価値をどう統合的に見渡し評価していくのか。第2部は「新国富を活用した地方創生の実例と今後の展望」と題し、馬奈木教授より「新国富指標」の概説ののち、福岡県久山町長の久芳菊司氏、福岡県宮若市の有吉哲信氏と山口県防府市の亀井幸一氏が登壇し、実践事例が紹介された。

事例を紹介する山口県防府市の亀井市、福岡県宮若市長の有吉市長、福岡県久山町長の久芳町長

「新国富指標(新国富)」とは、馬奈木准教授によれば、ケネス・アローやパーサ・ダスグプタなど世界的な経済学者と国連が共に推進した「富の計測プロジェクト」の成果であり、持続可能な社会づくりの施策に対する総合的評価の一手法だ。教育・健康・自然などの異なる価値を金銭換算し「資本」として加算・調整する指標である。

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