自動車を進化させるプロ集団 ベンチャーが大手との共創で存在感

名古屋市に本社を置くスタートアップ、AZAPA。自動運転やAI、EV関連のコンポーネントなど、様々な自動車関連技術において、大手企業との「共創」を実現している。大手を中心とする産業構造が確立された自動車業界において、AZAPAはなぜ存在感を発揮できるのか。

近藤 康弘(AZAPA 代表取締役社長&CEO)

自動車産業ヘの参入を後押し

AZAPAの創業は2008年7月。自動車関連技術のエンジニアが中心となって、名古屋で設立した。契機となったのは、同年に起きたリーマンショックだった。AZAPAの近藤康弘CEOはそれまで、国内最大手の自動車メーカーで主にエンジン制御を担うエンジニアとして働いていた。

「リーマンショックは、大企業も安泰ではないという現実を私に突きつけました。また、自動車業界においても、人材の流出や目先の利益を優先した事業転換が起きていて、日本の自動車産業が少しずつ疲弊しているのを感じたんです。そして、自動車産業を外から支える企業として、AZAPAを設立しようと決意しました」

AZAPAは、近藤CEOを含めた6名でスタートした。当初は、エンジニアを取引先に出向させて収益を得ていた時期もあったが、やがてAZAPAらしさを追求する事業へとシフトしていく。AZAPAらしい事業とは、近藤CEOがメーカー時代に担っていた自動車のエンジン制御だ。

「エンジンを制御するためには、自動車全体の仕組みを理解し、最適解を導き出すことが必要です。自動車関連の技術において、エンジン制御は最上位に位置しますから、AZAPAとしてもそれをやりたいと考えました」

近藤CEOは自社のポジションを、メーカーとサプライヤーの間に位置する「ティア0.5(0.5次請け)」と表現する。完成車メーカーの近くにいながら、部品の供給にとどまらない支援を実現できるからだ。

自動車エンジンの制御理論に強みを持つAZAPAは、自社で完成車をつくれる技術やノウハウがある。それは、自動車産業への参入を考える異業種にとって貴重な知見だ。国内でも珍しい立ち位置にいるAZAPAの事業は、多くの企業に受け入れられ、大手とのパートナーシップも可能になった。

モノづくりはかつて、自社内のエンジニアだけで行うことが主流だったが、AZAPAは外部パートナーとして横断的に複数の企業と協力関係を結ぶ。しかも技術力があるだけでなく、違う角度からモノが言える。それだけの知識とアイデアを持つ人材を揃えていることが、AZAPAの競争力となっている。

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