台湾発EVバイク 販売台数よりも「正しさ」の追求でユニコーンへ

台湾初のユニコーンと目されているGogoro。EVバイクメーカーと思われがちだが、設立当初からソーシャルビジネスをデザインする企業だ。目指す社会像と構想を、行銷副總(Vice President of Marketing)の彭明義(MING-I PENG)氏に聞いた。

文・矢島進二 日本デザイン振興会

 

彭 明義(Gogoro行銷副總)

Gogoroは台湾・桃園市で2011年に創業されたベンチャー企業で、企業名であり電動(EV)スクーターの名称でもある。累積販売台数10万台以上、台湾におけるEVスクーター市場シェアは95%となり、従業員数1,500人の規模に急成長している。日本からもパナソニックや住友商事が増資に参加するなど世界的に注目されている。

同社のスクーターは、電池が無くなると市内各所にある無人の24時間年中無休のスタンドで、内蔵バッテリー2つを交換するシェアシステムを持つ。交換は最短6秒で完了し、ステーションは台東県や離島以外全県に、コンビニ、ガソリンスタンド、地下鉄駅など、760ヶ所以上に設置され、既に都市ではほぼ1キロごとに整備されている。さらに2018年末までには1,000ヶ所までステーションを増設する予定だ。

彭氏は言う。「当社のミッションは、起業当初から地球環境をビジネスによって解決することです。ユーザーにクリーンエネルギーを実感してもらい、ビジネスを通じて、環境保全につながる新しい仕組みをつくりたかったのです」。まさに、ソーシャルビジネスと言えるものだ。

「ですので、当社はEVスクーターの単なる製造販売企業ではありません。エネルギーのインフラをオープンプラットフォームで構築する企業なのです」。当初はバイク製造を外部委託する方針だったが、EVバイクは収益化が困難という理由で、パートナーは発見できず、自分たちで製造から手がけることに方向を変えた。「ですが、よくよく考えると、ステーションや流通を含め全てを自分たちで行うモデルが構築できれば、ユーザーに対してトータルなサービスを提供することができるはずだ、これをビジネスとして設計しようと考えたのです」

2018年グッドデザイン賞ファイナリストに選ばれる。また台湾の郵便局やDHLに提供することが先日発表された。

社会課題をビジネスで解決

10月7日にGogoroのスクーターのみ1,303台が、一堂に台北の路上を走るイベントを行った。実施目的を聞くと「ガソリン車と比べ、騒音や空気の汚れ具合の違いを体感してもらう機会です。EVスクーターが主流となる新たな未来を市民に見てもらいたいのです」と言う。「創業当初から、販売台数増を第一とは考えていません。東南アジアでは、乗用車よりもバイクが大気汚染の原因になっています。それを解決するために、EVスクーターを普及することを考えたのです」

Gogoroのスクーター1,303台が一堂に台北の路上を走るイベントを開催しギネス認定を受ける

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