欧州ビジネスを成功させる新常識 彼我の違いを学ぶことが重要

――ご執筆の動機をお聞かせください。

商社を辞めて独立起業後、デンマークとオランダに28年間在住し、今は日本とヨーロッパを行き来する生活です。日本人とヨーロッパ人との商習慣・価値観の違いを理解し身に付けることが現地ビジネスで成功の秘訣です。

ところが、ヨーロッパ特有の商習慣が日本人ビジネスパーソンには理解されていません。大陸的な中国人・韓国人の場合は、同じく大陸的なヨーロッパ人に商習慣・価値観が近く、すぐに仲良くなれるので、存在感を増してきています。他方、日本の商品・サービスの特徴である精巧さやきめ細かさはヨーロッパの顧客へうまく伝えられず、アジア諸国の競合品に市場シェアを奪われてきているのです。

この「理解しがたい溝」の、背景、差違を私の経験から具体的に説き明かし、ヨーロッパで日本人が再び輝き、より多くのビジネスの成功を掴んで欲しいと願いました。既に現地で事業を展開する方のほか、これから事業を構想する方、異文化コミュニケーションに関心のある方を念頭に置いています。

――日欧の差違とその背景には、どんな具体例があるのですか。

ヨーロッパでは遠慮や律儀さを捨て、身振り大袈裟に宣伝・広告を徹底させる事がまず必要です。

また、契約書作成の根本理念が違います。多国籍・多言語の大陸で、個人主義を確立し生きるヨーロッパ人には、契約が慣習として根づいています。

また最近のインバウンド観光誘致では「おもてなし」が強調されます。しかし、ヨーロッパ人からすると無償のサービスには何か事情があると怪しまれ、敬遠されがちです。

「常識を疑え」は現実には難しく、想像力だけでは解決できません。その解決には、本書に書きましたが多くの苦い経験からこそ学べます。

――総じて、日本企業が外国の文化を肌で理解する機会は限られます。

グローバル化を体感するうえで最も有効なのは、海外の展示会を見て歩くことです。そこで自社の資源や商材の真の価値――世界に通用するか否かが分かります。外国語能力の有無を問わず一目瞭然です。現地では多くの中国人・韓国人に会いますが、残念ながら日本人は非常に少ない。何も恐れずに国外に出ることこそが始まりです。

ヨーロッパで勝つ!ビジネス成功術

――日本人の知らない新常識

  1. 筑摩書房
  2. 2018年5月刊行
  3. 本体860円+税

 

塚谷 泰生(つかたに・やすお)
日本食品産業ヨーロッパ 日本代表

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