AIで採用面接・選考 SHaiN、GROW360の導入メリット

企業の採用面接の一次選考などにもAIが使われ始めている。面接のコストや手間が省ける上に、主観や勘によらず公平な基準で判定でき、優秀な人材を見落とす可能性が少ないからだ。

採用面接を根本から変える2つのサービス

採用面接でのAI活用が増えている。面接を担当する人材も不足する中、担当者の曖昧な基準よりAIの予測分析に頼るほうが優秀な候補者に出会う確度が高いからだ。東京のインターネット広告大手企業では2014年から新卒者採用選考にAIを導入、人材の成長速度が格段に上がるなどの手応えを感じているという。同社幹部は、先々「就活対策や面接アピールは意味のないものになる」と語る。AIなら時間や日程の自由が利く上に、精度の高い性格診断から、自分を「盛る」ことはほぼ不可能で無意味になり、客観的な判定ができるからだ。

AI面接の汎用サービスとして代表的なのは「SHaiN」と「GROW」。2014年設立のタレントアンドアセスメントが開発した「SHaiN」では、スマホや、ヒト型ロボット「Pepper」が「バイタリティー」、「イニシアチブ」など7つの項目を評価するための質問を重ねる。回答が曖昧な時は容赦なく畳みかけてくるので、面接時間が2時間近くに及ぶこともある。しかも「表現力」や「ストレス耐性」など4項目がカメラで観察されているので気が抜けない。10分、15分で終わることも多い普通の面接とは違う緊張を強いられるが、徹底的に向き合ってくれるのは受験者にとってありがたいことかもしれない。スマホであれば、24時間場所を問わず、体調のいい時に受けられるから時間的・地理的な機会格差もない。企業側からすれば、低コストで全国の入社志望者へ確実にアプローチできることになる。

2010年設立の教育アドバイザリー・スタートアップ、IGSが開発した「GROW 306」は、性格診断、適性診断に重きを置いたツール。予めその企業の優秀な人材のパフォーマンスを分析して、必要な人材のコンピテンシーを抽出、それに沿った項目への回答をAIが評価する。友人やゼミ仲間などに質問に答えてもらい、本人の自己イメージとは違う複数の視点からも評価する点がユニークだ。また、ちょっとしたゲームを通じて指の動きからも性格を診断するので、採用面接のみならず、企業の教育研修などでも活用されているようだ。

AIに面接される受験者側はどう感じているのか。ある調査では「自分に向いた企業を勧めてくれる」ことには肯定的だが、「合否を判定される」ことには否定的、という結果が出ており、今のところ賛否は相半ばする。だが、別の調査では大企業の23.4%が導入を検討しており、今後AI面接が一般的になる可能性はある。最終の合否までAIに任せる例は少なく、主にエントリーシートの分析にAIを使うなど、活用法の強弱は企業それぞれで、「最後は人が判断。AIはあくまで補助」という声も多い。最初にご紹介したインターネット広告大手企業では、AIが決めた人員配置について、決定の経緯やその社員へのメリットなどについて丁寧に説明するという。AIは活用しても、最後は人間のきめ細かいフォローが欠かせない。

AI 面接アプリ概要

SHaiN

 

GROW360

開発会社概要

株式会社タレントアンドアセスメント

創立 2014年10月
本社 東京都港区
代表 山崎 俊明(代表取締役)
事業 ●AI 面接サービス「SHaiN」
●採用戦略構築・導入サービス
●メディアプロデュース
●人材採用・育成
● 「寝冷え猫」キャラクター事業

 

IGS(Institution for a Global Society)株式会社

創立 2010年5月
本社 東京都渋谷区
代表 福原 正大(代表取締役社長)
事業 ●GROW360
●e-Spire(TOEFL 形式の英語学習プラットフォーム)
●教育支援活動
 ・一般社団法人NFLJ(青少年スピーチ・ディベート団体)に協賛
 ・高校・大学へのアドバイザリー

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