サービス産業の将来を探る意欲作の数々/これからの事業承継戦略

長く「モノづくり」により世界市場での産業競争力を確保してきた日本。他方、サービス産業は今やほとんどの先進国でGDP(国内総生産)の7割以上を占め、将来の産業競争力を左右する鍵となっている。とりわけ近年、すべての経済はサービス経済であり、モノはサービスの価値を実現するための手段であるとするサービスドミナント・ロジックの考え方が世界的に広がりつつある。

「モノやサービスには、購入によって生まれる価値(交換価値)だけではなく、それを利用することで生まれる価値(利用価値)や、利用によって企業に蓄積される知識・スキルの価値(経験価値)があります」

日本でも2012年にサービス学会が発足し、従来のマーケティング・経営学などの個別分野に、人間工学・設計工学などの知見を加え、サービスドミナント・ロジックの中心概念である価値共創を実現する横断的・総合的アプローチが進んでいる。

「サービソロジーは『提供者と利用者の間の価値共創である』という見方でサービス産業を捉え直し、新たなイノベーションをもたらすことを狙っています」

こうした狙いを踏まえ、本書ではサービス価値共創フレームワークという枠組みに合わせて、価値提案、利用価値共創、経験価値共創、交換価値の実現、持続可能なサービス・イノベーション全体の、可視化や構造化、最適化の方法を、医療・介護、教育、飲食、金融などの分野の具体的事例を用いて明らかにしている。このため、本書は、21世紀になって誕生したサービソロジーという新しい分野についての唯一の入門書となっており、サービスに関わる経営革新、技術革新まで広範なテーマを扱う概説書ともなっている。

「編著者の二人とも、2006年の経済産業省・牛尾委員会を皮切りに、協議会や国の研究開発プログラム等において、一貫してサービスへの科学的・工学的アプローチによるサービス・イノベーションの取組みを続けてきました。今後は、サービソロジーの経営活用だけでなく、IoTやAI、ロボティクスの発展にも寄与したいと思います」

サービソロジーへの招待

−−価値共創によるサービス・イノベーション

  1. 村上輝康・新井民夫・
    JST社会技術研究開発センター(編著)
  2. 本体3,900円+税
  3. 東京大学出版会

 

 

村上 輝康(むらかみ・てるやす)
産業戦略研究所 代表

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