大ヒット絵本を生んだ 2000回のフィードバック

一般的に「売れない」コンテンツの代表格である絵本というジャンル。しかし、絵本作家のぶみの代表作『ママがおばけになっちゃった!』はシリーズ累計55万部超の大ヒットを遂げている。このヒットの裏には、絵本を読む母子への深い観察から得た発想があった。


文・小島 沙穂 Playce

 

のぶみ(絵本作家)

8月上旬、二子玉ライズにて開催された展覧会「ママがおばけになっちゃった! 絵本作家 のぶみの世界展」。多くの親子でにぎわう会場は、原画展示にとどまらない"遊べる"展覧会だった。

展覧会でもっとも存在感を放つのは、のぶみの代表作『ママがおばけになっちゃった!』に登場するママおばけの大きなオブジェだ。会場内は、ママおばけによじのぼったり、オブジェのボールプールで遊ぶ子どもたちの声であふれている。また、展示の奥には、粘土で遊ぶワークショップスペースもあり、親子でじっくりものづくりをする姿も見られた。

展覧会を開催するにあたり、のぶみは子どもにも大人にも楽しんでもらえるような仕掛けをつくりたいと考えた。これは、彼が絵本を描く時と同じ。ただ原画を並べているだけでは子どもには退屈だ。また、親、特に母親の心を動かせなければ、別の絵本やグッズの購入などの"次のアクション"につなげてもらえない。

親子ともに飽きさせないための仕掛けとは、いったいどんなものなのだろうか。

8/3~8/18に開催された「ママがおばけになっちゃった! 絵本作家 のぶみの世界展」の様子

子どもは「笑い」を
母親は「感動」を絵本に求める

親子どちらも楽しませるというのは実はとても難しい。これは、子どもと大人で絵本に対して求めるものが違うためだ。

「子どもはおもしろいものが好きで、とにかく遊びたいんです。一方、絵本を読み聞かせるお母さんは、自分も涙ぐんでしまうような感動物語を求める傾向にあると発見しました」

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