歴史的建築物を「マネタイズ」 地域から引く手数多のベンチャー

日本の国家課題のひとつである、空き家・空きビルの有効活用や歴史的建築物の保存。バリューマネジメントは歴史的建築物をホテルやレストラン、結婚式場などに利活用することで、地域再生に貢献している。

5月にオープンした大阪城内の予約制レストラン「大阪城西の丸庭園 大阪迎賓館」

歴史的建築物の保存を、税金ではなく民間活用で実現

昭和初期に建てられた銀行を、近代建築の雰囲気を残しながらフレンチを提供する客室全5室のオーベルジュに改修した「オーベルジュ豊岡1925」(兵庫県豊岡市)。大正時代建造の老舗企業のオーナー邸宅をウェディング・パーティー会場にした「アカガネリゾート京都東山1925」。1900年に神戸北野に居留した外国人のために建てられたレイン邸をレストランにリノベーションした「北野異人館 旧レイン邸」。

これらはいずれも、文化庁の登録有形文化財や都道府県指定の重要有形文化財の対象となっている歴史的建築物である。

町に溶け込み、意識されることも少なくなっていた歴史的建造物に新しい価値を加えることで、地域住民に愛され、地域外から観光客を呼びこむ集客装置として再生する。そんなビジネスを展開し、地域再生に悩む自治体などから引く手あまたの企業が、バリューマネジメントだ。

2005年に設立し、従業員数は約430人。文化財や歴史的建造物、古民家を、アニバーサリーレストランや宿泊施設、結婚式場などのパーティー会場に利活用するビジネスを、大阪・京都・兵庫など関西圏を中心に展開する。

代表取締役の他力野淳氏は長崎県出身、神戸市育ち。原子爆弾が投下された日に生まれ、また、神戸では阪神淡路大震災に被災し、「今日まで当たり前だったものが一瞬にしてなくなってしまうこともある」ことを痛感。これらの経験が、「伝統や文化を後世に残す」という考え方のベースになっているという。

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