地方創生を「計画」から「実行」へ

地域に今求められているのは、成長戦略をただ策定することではなく、それを実行に移すことだ。パシフィックコンサルタンツは「地域マネジメント事業」を通じて、地域の将来像のデザインから経営までを一気通貫で担い、地域の真の活性化に貢献している。

パシフィックコンサルタンツは地域活性化の「実行」を重視。施設運営などを通じて得たノウハウを地域に還元する(同社が運営する「道の駅せせらぎの里こうら」)

エネルギー、農業、観光まであらゆる分野をプロデュース

道の駅や農水産品直売所の運営、自治体との共同出資による地域エネルギー会社の設立、地域間を繋いだ繊維産業再生--。建設コンサルタント会社大手のパシフィックコンサルタンツが現在全国で取り組む地域活性化プロジェクトの数々だ。

太平洋戦争からの復興を目指して1951年に創業したパシフィックコンサルタンツは、高速道路や新幹線を筆頭に、日本全国のあらゆる社会資本整備の計画・設計に関わってきた。地域活性化事業という領域に本格的に取り組むようになったのはこの3−4年のことだ。

「国と地方の借金が1000兆円を超え、地域が人口減や高齢化などの多くの課題に直面している今、社会基盤整備に加えて、すでに存在する地域の人、モノ、施設を経営資源と捉え、地域が成長し続けるモデルをデザインすることが求められています。そこで私たちがスタートしたのが『地域マネジメント事業』です」とパシフィックコンサルタンツ取締役事業マネジメント本部長の重永智之氏は説明する。

地域マネジメント事業では、地域の将来像のデザイン、事業推進に必要な人材・資金確保のサポート、事業実施体制の構築、プロモーション支援などをトータルで提供。具体的には、自然・未利用エネルギーの利活用、農林水産業や観光産業の活性化、コミュニティマネジメント、医療福祉モデルの構築、新交通システム、防災、公共施設の効率的な運営・維持管理などのあらゆる分野において、地域の収益を確保する「仕組み」の提供と、実際の「運営」を行う。まさに地域の総合プロデューサーと言える存在だ。

重永智之 パシフィックコンサルタンツ 取締役事業マネジメント本部長(左)日高正人 同 事業マネジメント本部地域マネジメント戦略部長(右)

計画だけでなく、実行にも責任を持つ

地域のプロデューサーを標榜しコンサルティングを行う企業は多いが、パシフィックコンサルタンツの違いは、「自らがプレイヤーとなり、実際に地域活性化事業を行う」(重永氏)という姿勢にある。

例えば、滋賀県では「道の駅せせらぎの里こうら」の指定管理者として、地場農水産品をつかった商品開発を行うなど、施設の集客力アップに取り組んでいる。エネルギー分野では発電子会社が大規模太陽光発電所を2カ所で運営するほか、2015年には電力小売会社を設立。他にも、今年4月には宮城県東松島市に、農水産品や加工品の直販所やベーカリーといった機能を備えた地域活性化施設「Harappa」をオープンする。

現在の地方創生の問題点は、計画や総合戦略づくりが目的化していることにある。「今までのコンサルティング会社は、地域課題やアイデアを提示しても、その解決や実行までは行いませんでした。私たちは地域の真のニーズを満たすために、実行まで責任を持つというスタンスです。そのためにはまず、自分たちで経験してみることが大切。事業が本当に地域のために役立つのか、成功や失敗から学び、ノウハウを地域に還元していきます」と、地域マネジメント戦略部長の日高正人氏は述べる。

もちろん、建設コンサルタントとして60年以上にわたり全国で事業を行ってきた経験や、自治体や地域住民とのコミュニケーション能力も、他社にはない強みである。

地域の収益性を高めるノウハウ

これまで手がけた地域マネジメント事業は全国30件を超える。「各地で行ってきたプロジェクトの成果を、1カ所のエリアごとに集中投下していくのがこれからのフェーズです」と重永氏。

大きな成果を出しているのが、岩手県釜石市のがれき処理プロジェクト。がれき処理という震災の負の遺産を、釜石港と物流産業成長の機会として捉え、地域の経営戦略をつくり、インフラを再整備し、事業誘致を推進。その結果、釜石港のコンテナ取扱量は震災前の20倍に増え、復興のシンボルとなっている。

これまでの経験から、「地域経営の軸となるものは、エネルギーと地場産業、生活サービスの3つ。これらを連動させ、収益性を高める仕組みをつくることが最大のポイントです」と日高氏は言う。自治体と協力し、地域電力会社を設立し、公共施設に今までよりも安価に電力を卸し、差分収益を施設やインフラの維持・管理に活用するというモデルの構築も進めている。

エネルギー分野では、メガソーラー運営会社や電力小売会社を設立している

「地域と地域を繋ぎ、欠落している要素を補いあうという視点も大切です」(日高氏)。一例が、山梨県富士吉田市、栃木県足利市、岩手県の自治体・企業を連携する繊維産業再生プロジェクト。スーツや洋服では、富士吉田には繊維素材生産、足利には染色、岩手には製品化や販売を担う企業が集積しているが、それぞれの地域単独で競争力を高めることはもはや難しい。そこで地域を繋ぎ、デザイナーやバイヤーも新たに参加しながら、新しい繊維産業のサプライチェーンを構築するというのがプロジェクトの狙いだ。3月にはキックオフとなる「ものづくり繊維サミット」を開催、大手百貨店や海外デザイナーも参加するなど大きな期待を集めている。

建設コンサルタントという従来の枠を飛び越え、地域マネジメントという新領域で活躍を始めたパシフィックコンサルタンツ。「勇気を持って『変わろう』と挑戦する自治体と連携し、一緒に未来をつくっていきたい」と重永氏は決意を述べる。

地域マネジメント事業の領域

出典:パシフィックコンサルタンツ

 

お問い合わせ

  1. パシフィックコンサルタンツ株式会社 事業マネジメント本部 地域マネジメント戦略部
  2. TEL:03-6777-3947
  3. URL:http://www.pacific.co.jp/

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