東京から1時間半の「別世界」 関東一の古民家を資源に

山梨県甲府盆地の山を一つ越えた、標高600~1000mの山間に位置する芦川町。この町に築100年の古民家を1棟貸しする「古民家宿LOOF」がオープンした。限界集落で新規事業に挑むのは、古民家宿の若き女性オーナーだ。

保要佳江(ほよう・よしえ)古民家宿LOOFコンシェルジュ

都会に近い田舎が魅力

産業も観光もない、学校は中学校までしかなく、若い人などほとんど見かけない山間にある芦川町(旧芦川村)。人口約400人、その50%以上が65歳以上の限界集落だ。「古民家宿LOOF」は、そんな町に2014年10月にオープンした。「暮らすように泊まる宿」をコンセプトに、築100年の古民家をリノベーション。1日1組限定の1棟貸し宿だ。

芦川町には伝統的な兜造りの古民家が多く残っており、その数は156棟。LOOFの室内からは、茅葺屋根の連なる、どこか懐かしい町並を眺められる。

豊かな自然の中で、ゆったりと時間を忘れて過ごせる宿として評判は徐々に広がり、祝祭日や長期休暇を中心に20~40代のグループや家族、日本の原風景を求めて旅する外国人などが訪れる。

LOOFのオーナーである保要佳江氏は「限界集落と言われる芦川町ですが、実は東京から約1時間半、河口湖や勝沼町など山梨県の観光名所からも近く、地の利は非常にいいのです」と話す。

そうした地の利を活かし、町の周辺を訪れる観光客をターゲットにしたビジネスをできないかと発想したのが、町に156棟も残る古民家を活用した宿の経営だった。

日本の原風景を求めて、海外から訪れる旅行客も多い。囲炉裏を囲んだ料理を振る舞う

関東一「古民家が多い町」棟数は150を超える

中学までを芦川町で過ごした保要氏は広い世界への憧れが強く、甲府の高校を卒業した後、国際協力に興味を持ち、国際関係の勉強をできる東京の大学に進学。英語を学ぶために留学もした。

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