UDタクシーで新市場を開拓
高齢者に配慮され、誰もが使いやすいUD(ユニバーサルデザイン)タクシー。利便性の高さにもかかわらず、その普及は進んでいない。UDタクシーの潜在力を活かすことで、新たなマーケットが生まれる可能性がある。
急速に進む超高齢社会で、今、問題視されているのが交通移動弱者だ。加齢で身体機能が低下し、運転免許証を返納したが、足腰が弱るなど昇降を伴う公共交通機関を利用しづらい人たちのことで、日常生活に支障をきたすため、新たなバリアフリーの生活移動の交通機関が求められている。そこで注目されているのが、福祉タクシーやUD(ユニバーサルデザイン)構造を持つワゴン型タクシーだ。
しかし、これまでのところUDタクシーの普及には、なぜか勢いがない。
全国ハイヤー・タクシー連合会の吉村幸治氏は、その理由を2つ挙げる。
「UDタクシーは、まだお客様になじみがないため、一般のタクシーだと認知されていないようです。もう一つは、車両価格がセダンよりも高いことです。メーカーも今のところ日産1社しかありません」
その一方で、UDタクシーを積極的に導入し成果を上げるケースもある。大半のタクシー会社が赤字経営と言われるなか、長野県の中央タクシーは顧客満足度を高めて黒字経営を続けている。同社では利用者の高齢化に伴い、UDタクシーを3年前に導入した。
宇都宮司社長は「車椅子でも利用できるので非常に顧客に好評で、通院で足替わりに使われる方も多くいるようです」とその効果を語る。
ただし、UDタクシーの利用件数は病院の受付時間帯に集中するため、送迎含めて1日3件程度にとどまっている。利用率の向上には通院以外の顧客の開拓が必須で、「車椅子でも気軽に買い物や旅行に行けるような環境も必要ではないか」と宇都宮社長は考える。
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