介護ビジネスの商機と未来

急速にターゲット層が増加する介護関連市場。今後、量的な拡大だけでなく、マーケットの「質」も変わっていく。競争の条件が変化する中で、ビジネスチャンスをつかむには何が必要なのか。

今の日本で、介護ビジネスほど右肩上がりで市場が拡大している分野も珍しい。2010年の時点で約7.9兆円だった介護保険の総費用が、25年には20兆円規模になると推定されている。これは、どれほどの規模なのか。例えば12年の国内の家電小売市場は約7兆4800億円で、介護分野は10年の時点で既に上回っているのだ。当然、周辺のビジネスも含めれば、市場規模はさらに膨れ上がる。

服部万里子
立教大学コミュニティ福祉学部教授
NPO法人渋谷介護サポートセンター事務局長

専門家はこの介護関連の市場をどう見ているのだろうか。医療・福祉や高齢者サービスについての調査・研究・コンサルティング事業を手がける服部メディカル研究所の代表で、立教大学コミュニティ福祉学部教授、NPO法人渋谷介護サポートセンター事務局長も務める服部万里子氏は、こう分析する。

「2000年に介護保険がスタートしてから、介護保険の利用者が2.5倍に増えました。最初は120万人ぐらいだったのが、今は460万人ほどいます。これには2つ理由があります。まずは高齢化がかなりのスピードで進んでいること。現在、65歳以上の割合は23%ですが、50年には39.6%に達します。さらに、08年に介護保険法が改正され、特定疾患にガン末期も加えられたことで裾野が広がりました」

業界独自の難しさも存在

ビジネスとして介護関連の市場を見ると、急速にターゲット層が増加し、しかもかなりの長期間、その割合が安定していることになる。これが、様々な介護の関連分野に大手企業が続々と参入している理由だろう。

しかし、国が運営する介護保険がからんでくるため、いわゆる一般的なビジネスとは異なるメリット、デメリットがある。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り66%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。