2013年8月号
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食ビジネスの進化

「テーラーメイド食品」のインパクト 遺伝子で食をオーダーメイド

石川伸一(宮城大学食産業学部フードビジネス学科 准教授)

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個々人の体質や遺伝子多型に応じた「テーラーメイド食品」の開発が進んでいる。これにより、サプリメントやビタミン剤での栄養摂取では難しい、食事のおいしさや楽しみを味わうことができる。近い将来、食品企業は、消費者の健康をケアする「栄養士」や「ドクター」の役割が求められるようになる。

食品業界は、世界中のあらゆる製造業の中で最大の売上高がある巨大産業である。この食産業の未来を考える上で興味深い「食品に追加された"価値"に関する食産業の進化」というグラフ(上図)がある。

このグラフによると、食品業界は、単に製品を「作る」というメーカー的立場から→商品による「サービス」→さらに機能性食品などによる消費者の健康を「ケア」するという価値を提供する立場へと進化している。

グラフの線はS時カーブを描いており、価値の"上げ止まり"が見られる。

「製品価値を今後いかに上昇させるか」が食産業分野の課題であるが、今後の食品価値として、「個別化食事や個別化栄養」が重要と考えている人が次第に増えている。すなわち、既製服と違い個人の体格や好みに合わせて洋服を作るように、個人の体質に合わせて食を開発する「食のテーラーメイド化」である。

現在、医療から始まったテーラーメイド化は,栄養分野にも波及し始めており、新しい栄養指導として「個々人の体質や遺伝子多型にあったテーラーメイド栄養学」が動き始めている。

「同じように食べても、どうしてあの人は太らないのだろう」と思ったことがある人もいるだろう。自分が肥満関連遺伝子を持っているかどうか事前に知っておくことで、普段の食事を個人向けにカスタマイズし、病気を予防する時代の到来である。

個々人に必要な栄養素を提供

食事指導だけで個人の「オーダーメイド化」が可能な場合もあるが、食事内容が制限・限定されることもあるため、個々人に合った食品である「テーラーメイド食品」がより有効な分野も存在し、食品企業はこの分野をターゲットとすべきであろう。その例としては、その人にとって"リスクとなる食品成分のみを取り除く"という開発戦略である。

牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人がいる。原因は、牛乳に含まれる乳糖を消化管内で分解することができないためである。この症状は「乳糖不耐症」と呼ばれる。雪印MEGMILKは、製造工程であらかじめ乳糖を分解し、乳糖不耐症の人でも安心して飲める「アカディ」という牛乳を販売しており、まさに遺伝子多型を考慮した「テーラーメイド食品」と言える。

また、食品成分を減らす方向と逆に、"必要な栄養の要求量が高くなる"遺伝子多型も存在するため、"特定の食品成分を増やす"開発戦略も考えられる。

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