2016年4月号
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身近にあるビッグデータ活用法

誰がイノベーションに必要な情報を持つのか 「エッジ」に宿る力

高木 聡一郎(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授、主任研究員)

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さまざまなデータがオープン化されることは、従来の産業構造において「周辺」に位置していた個人や小規模な企業に、新たな力を与える。しかしデータはツールであり、重要なのは、課題解決のためにデータを活用することだ。

エンジニアやクリエイターが共同作業でサービス開発を競い合う「ハッカソン」が盛んに開催されるなど、オープンデータ化の流れの中で、個人が活躍する場面は広がっている(写真はイメージ)

近年、世界的にオープンデータ化が進んでいる背景には、主に2つの要因があります。

一つは、これまで作業効率化の手段であったデータが「資源」になったことです。データを使いこなすことで、新しい価値を生み出せるようになりました。

しかし、データの用途は無限で、どう使うのかが課題になります。仮に蓄積された顧客データを使って、新しい事業に進出できたとしても、その事業が自社の方向性、目指す将来像と一致するとは限りません。

そうなると、本来は価値のあるデータであっても、宝の持ち腐れになってしまいます。社会全体で見れば、自社が不要なデータはオープンにしたほうが、「資源」の有効活用になるのです。

ただ、自社では不要だと思っていても、競合他社がそのデータの価値に気づいている可能性もあります。また、今は使い道がわからないデータでも、将来は価値を持つかもしれません。そのため、企業にとっては、「データを公開しない」という戦略も選択肢となります。

一方で公共セクターは、データの公開にかかるコスト(役所内の調整、ウェブサイトの準備、データの選定、加工など)を別にすれば、データを公開しない理由はありません。

高木聡一郎(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授、主任研究員)

「エッジにいる人」を後押し

もう一つの要因は、「誰がイノベーションに必要な情報を持っているのか」という情報の偏在が変化していることです。かつての「モノ」を中心とした経済では、成長のためには規模を追求し、大規模投資をすることが必要でした。慎重な意思決定が求められ、集めた情報は一握りの人に集約されていました。当時は、それが合理的だったのです。

しかし、ICTの進展で、現在は「情報」中心の経済になっています。先が読めない市場環境の中でも、少ない投資・低コストで新しい事業を始められる可能性が高まり、技術や知識のオープン化も進んでいます。そのため、ヒエラルキーの上位にいるからといって有利とは限らず、現場に近いところにいても、感度の高い人には情報が集まるようになりました。

ヒエラルキーの下位層や大企業の周辺にいる人たち、つまりエッジにいる人たちが自由に動きやすくなり、存在感を増しています。私はそれを「エッジ・イノベーション」と呼んでいます。

しかし、エッジにいる人たちは、モノやカネなどの経営資源が不足していることが多く、それを補うためにもデータのオープン化が重要です。現在は、情報の偏在と組織や社会の構造にミスマッチが生じており、その調整が進んでいる過渡期と言えるでしょう。

エッジにいる人たちにとって、自由に使えるデータが増えているのは追い風です。しかし、そこにはリスクもあります。「データありき」でつくったサービスは、大きな価値を生まないものになりがちだからです。

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