ミドリムシで食料問題を解決

田んぼや池に生息する、ごくありふれた藻の一つであるミドリムシに、近年、注目が集まっている。ミドリムシが秘めている可能性とは、いったい何か?ミドリムシを事業の柱に掲げるユーグレナは、大きな将来構想を掲げている。

様々な研究開発を行っており、ミドリムシの燃料化も視野に入れる

ユーグレナは、2005年設立のバイオベンチャーだが、伊藤忠商事、全日空、JX日鉱日石エネルギーなど、大手企業がこぞって出資する注目企業だ。

社名にしているユーグレナの和名は「ミドリムシ」。同社では、このミドリムシを原料に、食品からバイオ燃料まで、様々な商品の開発に取り組んでいる。

消化が良く豊富な栄養素

ミドリムシは、藻類だが、鞭毛を持ち、動物運動をするという特徴がある。

福本拓元
ユーグレナ取締役マーケティング部長

植物のような細胞壁はなく、代わりに細胞膜で覆われている。そのため、他の植物を食べた場合と比べ、消化効率が良い。しかも、ミドリムシは59種類もの栄養素を含んでおり、ビタミンCや葉酸といった植物の栄養素だけでなく、DHA、EPA、ビタミンB1などの動物に含まれる栄養素も持っている。そのため、少量で、必要な栄養素をバランスよく摂取できる。こうした特徴から、機能性食品として注目を集めているのだ。

ちなみに、機能性食品と言うと、先進国で消費されるものと考えられがちだが、同社の福本拓元取締役マーケティング部長は、途上国の健康問題の改善にも活用すべきだという。

OEMで供給するだけでなく自社で機能性食品の企画・開発まで一貫して行っている

「多くの途上国では、何らかの食料はあるので、飢えることはあまりありません。しかし、食材が限られるため、さまざまな栄養素をバランスよく摂取することは難しく、栄養不良や栄養失調が問題になっています。こうしたところでも、普段の食事にミドリムシを加えれば、栄養バランスを改善することができるのです」 また、福本氏は、栄養失調だけでなく、食料不足の問題の解決にもミドリムシが役立つという。

「ミドリムシは、光合成によって成長するため、水と光があればどこでも育ちます。しかも、他の植物と比べても繁殖力が高く、これを飼料や肥料にすれば、飼料用作物や肥料の不足、価格高騰といった問題の解消につながるとされています」

光合成をする際に、二酸化炭素を固定化するので、地球温暖化防止の面でも貢献できる。しかも、二酸化炭素の吸収が大きい熱帯雨林と比較しても、ミドリムシの方が単位面積当たりで数倍以上の吸収力を持つため、効率的な温暖化対策となる可能性がある。また、代替燃料としての可能性も大きい。

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