首長アンケート結果発表 政策的基盤は整うが、忍び寄るDX人材不足

月刊事業構想は全国都道府県・市区町村の首長を対象に、2回目となる自治体DXに関するアンケート調査を実施した。前回調査の2021年夏と比べて、全国の自治体の意識はどのように変化したのだろうか。新型コロナ対策もあり、テレワークの拡大や対面での書類のやり取りの減少が実現している。

■ 調査サマリー
○ DXに関する全体方針の策定状況に関しては、およそ6割以上が策定済みもしくは策定予定
○ DX推進の専門部署を設置している自治体は約40%と前回調査時よりも増加しているが、未だに多くの自治体が人材の育成に課題を抱えている。
○ DX推進にあたって外部専門機関との連携を希望する自治体は46.1%であった。

■ 調査の概要
○ 調査名:第2回自治体DX全国首長アンケート
○ 調査内容:自治体DXの計画策定状況と今後の計画、策定プロセス、
推進体制、取組の現状と課題、民間協力の有無に関して
○ 回答対象:都道府県・市区町村の首長(送付数:1788件)
○ 回答数:598件(2022年5月31日現在)
○ 回答方法:郵送およびWEBを利用したアンケート調査
○ 実施期間:2022年3月
○ 調査主体:学校法人先端教育機構「月刊事業構想」、株式会社NTTドコモ

 

1) DX推進に関する方針等の整備状況について

2) DX推進に関する専門部署について

3)自治体DX推進計画「地方自治体が取り組むべき事項」の進捗

4)外部との連携方針について

■ まとめ
▶ DX推進に関する全体方針の策定状況は、2021年8月実施の前回調査(以下「前回調査」)に比べ、策定済・策定予定が61.7%(23.9%増)と大幅に増える一方、策定時期未定が23.9%減少となっており、各自治体においてDX推進の政策的基盤は整ってきているものと評価できる。
▶ 全体方針の策定が進むなか、具体的な推進に必要となる組織の設置状況を見てみると、DX推進のための専門部署を今後設置予定の自治体は21.7%であり、設置済の38.3%を加えても半分強である。設置予定がない自治体を見ると小規模自治体が多く、かつ理由は人員・人材不足となっている。
▶ 国の自治体DX推進計画において、地方自治体が取り組むべき事項(以下「取組事項」)に関しては、前回調査と比較し、進捗の状況を示す割合に大きく前向きな変化があった項目として、テレワークの推進とBPRの取組(書面・押印・対面の見直し)が見られた。しかし、これは新型コロナ禍への対応による進捗という側面が大きいものと想定される。その他各項目の全体的な傾向としては、進捗割合に大きな変化は見られず、具体的なDXの取組は、まだまだ今後の展開に期待する、という状況である。
また、具体的な各種取組事項を推進していくにあたり、46.1%の自治体が職員の専門性の不足などを理由に外部専門機関との連携やアドバイスを希望しているという結果となっており、高い専門性が必要となる自治体政策・事業における典型的な傾向、つまり、ゼネラリスト育成を基本とする自治体における職員の専門性不足が、DXにおいても同様に問題となっている。
▶ 結果として、自治体DXの進捗については、各自治体の政策的基盤は整ってきているが、具体的な推進組織や個々の取組においてはこれから、という状況である。これには、必要人員や専門人材の不足が大きな影響を与えている、与えていく、と見られることから、今後DX推進における大きな地域間格差を生まないためにも、特にこの点について国や都道府県、民間企業・団体などによる、さらなるフォローが行われる必要があると考えられる。

 

調査内容に関するお問い合わせ

学校法人先端教育機構
自治体DX全国首長アンケート事務局

Mail:pjlab@mpd.ac.jp

記事内容に関するお問い合わせ先

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ソリューション&マーケティング本部 事業推進部 地域協創推進部門
連絡先:jichitaidx-seminar-ml@nttdocomo.com
※上記に記載されたメールアドレスについては2022年7月末まで有効

※株式会社NTTドコモは、 2022年1月1日にNTTコミュニケーションズ株式会社とエヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社を子会社化し、2022年7月1日に組織の再編成を致しました。本誌の自治体DX首長アンケートと対談の記事内容については、2022年6月20日時点の社名・役職を記載しております。

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