セブン&アイvsイオン 巨大流通企業グループのM&A戦略

流通小売大手は、M&Aを通じて、小売だけでなく、金融ITなどにもビジネス領域を拡大しながら、暮らしのインフラを提供することに邁進してきた。それぞれの戦略で流通小売の未来を探る、トップ2社の歩みを概観する。

新時代のM&Aに向けて動き出す、2大巨頭

流通小売大手はM&Aを通じて、小売だけでなく、金融、ITなどへビジネス領域を拡大しながら、暮らしのインフラを提供することに邁進してきた。

セブン&アイ・ホールディングスは、1920年創業のイトーヨーカ堂をはじめ、1970年代に日本に登場したセブンイレブン、2003年に西武百貨店とそごうが合併して設立されたミレニアム・リテーリンググループ、さらには阪急百貨店などを中心とするH2Oリテーリングを傘下に収めるなど、大規模なM&Aの繰り返しによって規模を拡大している。

現在展開するオムニチャンネルは、コンビニから総合スーパー、通販、百貨店に至る小売のあらゆる業態、商品群を網羅し、24時間化することで、消費者の全年齢層を全時間帯で取り込む方法論だ。そこには、ロフトのような雑貨、タワーレコードやぴあなどのエンターテインメント事業も含まれ、全業態を緊密に一体化することで相乗効果を狙う。直近では、2020年11月に、米国のコンビニ併設型ガソリンスタンド スピードウエイを2兆2000億円の巨額で買収することを発表した。コンビニの生活インフラ化という日本流を米国で定着できるかが注目される。

売上規模でセブン&アイの6兆円規模をはるかに凌ぐイオンもまた、M&Aによって巨大化し続けてきた。規模の拡大によって、小売がメーカーとの交渉を有利に進め、相手先のノウハウや人材を取り込んで活かす。その先鞭をつけたのがイオンだ。1758年、三重県で開業した小間物屋に始まって、1969年のジャスコ設立、1989年のイオングループ発足、2008年の持株会社移行を経て、なおも規模を拡大し続けるその歴史は、M&Aの歴史そのものとも言える。

全国のスーパーを中心とする意欲的な買収、資本・業務提携は、1990年代、2000年代に最も盛んになったが、2010年以降もマルナカやピーコックストア、レッドキャベツなどを相次いで子会社化している。直近では、拡大したスーパー事業の再編に着手し、全国を6エリアに分けて物流の最適化などを図っている。一方、特に1995年のツルハとの提携に始まるドラッグストア業界の再編は、今日のドラッグストアのコンビニ化につながっており、コンビニを中核とするセブン&アイの対極に立つ。

流通小売の2大巨頭は、主に規模拡大によるメリットを追求してきたが、今後、消費の形も、店舗のあり方も大きく変わる。デジタライゼーションの波、そしてコロナ収束後の新しい生活様式とともに、規模拡大にとどまらない小売のイノベーションをどのように起こしていくのか、今後の動向が大いに注目される。

両社概要

セブン&アイ・ホールディングス

設立 2005 年(創業1830年)
本社 東京都千代田区
代表 井阪 隆一( 代表取締役社長)
資本金 500億円
従業員数 138, 808名(臨時従業員含む)
事業内容 コンビニエンスストア、総合スーパー、食品スーパー、百貨店、金融、IT /サービスなど、各事業を中心とした企業グループの企画・管理・運営(純粋持株会社)

出典:同社ホームページ、有価証券報告書

 

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