経営者若返りで地域に事業を残す 創業支援とM&A事業承継を連携

地域で活動する企業の減少に歯止めをかけるには、M&Aによる小規模事業者の事業承継が有効だ。三島商工会議所では、県や市・連携する支援機関と共に、起業志望者と後継者のいない企業をマッチング。M&Aによる事業承継で経験を積み、コロナ危機下で増えそうなニーズにも備える。

宇水 淳(三島商工会議所 M-ステ 経営指導員)

人口減少と、それに伴う経済活動の停滞を危惧する地域にとって、地元の事業を何らかの形で継続させることは重要課題だ。最近では、経営者の親族に、次期社長候補がいない場合も多い。そこで、M&Aによる承継(第三者承継)が注目されるようになった。静岡県三島市の三島商工会議所では、起業家育成と事業承継支援事業をコラボレーションさせ、様々な公的支援と組み合わせることで、M&Aによる事業存続の成功事例が誕生している。

東京100km圏でも強い危機感
事業者の減少に歯止めをかける

三島市は、旧東海道の宿場町として栄え、新幹線で東京まで1時間という交通至便な場所に位置する。古くから商業や観光の拠点であり、戦後は周辺に大企業の工場が進出してきた。現在は人口減の渦中にあるものの、周辺自治体と比べれば減少割合は低い。

それでも、「三島商工会議所としては、事業者の減少傾向を問題視しています。2012年には5395カ所あった市内の事業所数は、4年後の2016年には150近く減少し、5248カ所となってしまいました。事業所がなくなると、雇用の機会、税収が失われます。地域の小さい店が閉店すれば、住民が近所で買物ができなくなるなどのダメージもあります」と、三島商工会議所中小企業相談所経営支援課の宇水(うみず)淳氏は危機感を口にする。同市では、飲食業や食品に関わる業種の比率が高く、コロナ危機下のマイナス影響が大きい点も心配だ。

企業の減少傾向に対抗する手段は、起業する人を増やすことと、廃業する事業者を減らすこと。三島商工会議所では、三島市と協力してワンストップの経営相談窓口「みしま経営支援ステーション(M-ステ)」を2014年から運営してきた。意欲のある事業者を、創業・経営革新・事業承継の3本柱で支援するという取組だ。その一環が「M-ステ創業応援塾」で、起業志望者に対し、ビジネスプランの作成サポートや、創業時の各種手続き、資金調達法などを教える。前身の創業セミナーから数えれば、20年にわたって継続してきた。

この創業支援と、事業承継支援の取組が交差し始めたのは、地域において中小企業の経営者の高齢化が懸念され始めた時期と重なる。静岡県では、事業引継ぎ支援センターが2012年1月に設立され、後継者不在の事業者に対する第三者承継の支援を本格的に開始した。同センターが主導する後継者人材バンク制度も、日本で初めて2015年4月に発足。M-ステと協力して、事業を譲りたい人・譲り受けたい人のマッチングに着手した。また、創業応援塾のカリキュラムの中でも、事業承継事例や後継者人材バンク制度などを紹介するようになっている。

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