写真スタジオ買収のナルミヤ かわいい服×記念写真で成長目指す

国内最大手の子供服メーカー、ナルミヤ・インターナショナルは2020年12月、首都圏に展開する子どもフォトスタジオLOVSTの全株式を取得、子会社化した。アパレルの顧客に新たなサービスを提供し、キッズライフスタイル全体を彩る企業を目指す。

LOVSTの写真の背景となるセット。ナルミヤブランドの服と相性の良い背景で写真を撮影

ベビー・子供服の企画販売事業で「プティマイン」、「ラブトキシック」、「メゾ ピアノ」など24のブランドを展開するナルミヤ・インターナショナル。2010年に上場を廃止し、2018年に再度上場した同社が、アパレル以外の新規事業の立ち上げを検討し始めたのは、再上場を視野に入れ始めた時期だった。

「ナルミヤは子供服のブランドを持つアパレル企業ですが、社会の趨勢がモノからコトにシフトする形で、何かサービス事業を始めたいと考えていました。店舗では以前から商品購入の際、子どもたちが限定のドレスを着て写真撮影できるイベントを行っており、好評でした。そこで、子ども向けフォト事業をできないかと考え、2017年12月にLOVSTとまずは業務提携しました」。

ナルミヤ・インターナショナル常務執行役員で経営企画室室長の国京紘宇氏は、LOVSTとの事業を始めた経緯についてこう語る。提携先にLOVSTを選んだ理由の1つは、時代に合った事業を展開していると感じたからだ。

「従来の子ども向けフォトスタジオのビジネスモデルと今の顧客のニーズの間にはギャップがあると感じていました。子どもの記念写真を撮影するフォトスタジオは、写真を売ることを前提にしたビジネスモデルを取っています。たくさんの写真を撮影しても顧客はワンショットしか選べず、データをその場でもらうことができませんでした。これではSNSやスマートフォンの時代に合わないので、時代に適したフォトスタジオを探しました」。

その際、紹介されたのがLOVSTだった。東京・勝どきで始まった子ども写真館のLOVSTは、写真を売るのでなく、写真を撮る体験を提供するという発想で事業を展開していた。スタジオで色々な服を着て着飾った子どもの写真を平均300カット撮影し、100カット程度お渡しし、顧客とLINEアドレスを交換の上データを提供する。高画質な写真の出力やアルバム作成などを希望する人には別途、購入してもらう。

「LOVSTのサービスはSNSでつながる今の時代にぴったりで、キッズライフスタイルカンパニーを目指す私たちの経営理念とも一致していました。若くて一生懸命な経営者にも共感し、一緒に仕事ができると考えたのです」。

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