積極投資を進めるダイドー 自販機チャネルのトップシェア確立へ

2020年度に、主力の「ダイドーブレンド」ブランドとの「鬼滅の刃」コラボ缶が大ヒットして話題になったダイドーグループ。コロナ禍の逆風を受けながらも、新規ビジネスへの取り組みや積極投資により、さらなる成長戦略を描いている。同社の事業構想について、髙松富也社長に話を聞いた。

髙松 富也 ダイドードリンコ株式会社 代表取締役社長

医薬品販売から始まり
自販機チャネルで成長

ダイドーグループの歴史は、創業者の髙松冨男氏が戦後に立ち上げた医薬品配置販売業から始まる。1956年に大同薬品(現・大同薬品工業)を設立してドリンク剤の製造・販売業に進出すると、高度経済成長期に缶コーヒーをヒットさせたことで飲料事業を主力とする現在の経営スタイルへと進化した。

そして1975年に設立したダイドー(現・ダイドードリンコ)は国内飲料メーカーとしては珍しく「自販機チャネル」を中心に業績を伸ばし、2017年1月に持株会社体制へと移行。2020年度は、顔認証決済や足操作の自販機の実証実験を行ったり、抗ウイルス対策やマスク・除菌ウェットティッシュ販売に対応した自販機を出すなど、コロナ禍の中で様々なアイデアを打ち出している。

「長期経営計画の『グループミッション2030』は、自販機チャネルをさらに成長できる部門へと変革することと、そこで生み出した原資をさらなる新規ビジネスに活かすことの二本立てです。創業が配置薬だったこともありますし、高齢化社会で健康寿命延伸の分野はますます注目度が上がるでしょうから、ヘルスケアは新分野の有力候補の一つですね」と、ダイドーグループホールディングス代表取締役社長の髙松富也氏は語る。

2014年の社長就任を機に策定した中期経営計画「Challenge the Next Stage」は、100年先も存続する企業であるためのバックキャスティング型グループビジョンの始まりだった。その流れを継ぐ「グループミッション2030」は、幹部と一般社員が一緒にワークショップに取り組んで描いたもので、時代や環境が変わる中で非連続のイノベーションに踏み出すための道しるべとなる。

「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするダイドーグループを目指し、SDGsやESGの発想で、社会課題解決による価値創造と成長を実現するための基盤づくりを進めます」

コロナ禍でも積極投資し
トップシェアを目指す

飲料業界における自販機売上の割合は平均3~4割で推移しているが、ダイドーは約8割と圧倒的に高い。小売り店舗での販売に頼らず自社商品の出荷をコントロールできる上、販促費などの資金流出がないため収益性も高い。しかし、10年ほど前からコンビニの台頭によって自販機マーケットの伸びが鈍化し、市場環境は甘くない。

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