情報通信で食と農業に革新 ICTで農業を魅力ある産業に

IOWN構想連載の最終回は、NTTの農業・農作物流通・食分野での研究を取り上げる。高齢化・後継者不足にあえぐ農業を、日本一魅力ある産業に発展させることなどが目標だ。ロボット農機を支える大容量通信の提供や、デジタルツインによる農作物需給予測などに取り組む。

NTTでは、スマートな社会である「Smart World」の実現を目指している。重点分野の1つが、農業で技術・ノウハウを継承し、生産性・品質の向上を目指す「Smart Agri」だ。

「Smart Agriは将来の成長分野として捉え、取り組んでいます。農業は地方の基幹産業ですが、高齢化と後継者不足で、今後、日本の農や食を維持できるのかという切実な課題があります。そこで、NTTグループの情報通信技術(ICT)や最先端の研究開発技術、アセットを活用して農業や地域を活性化し、ひいてはNTTのビジネスにもつなげたいと考えています」。

久住 嘉和(NTT研究企画部門 食農プロデュース担当部長)

NTT 研究企画部門食農プロデュース担当部長の久住嘉和氏は、こう語る。現在はグループ企業30社が連携し、四半期に1回、農業ワーキンググループを開催している。農業に関するグループ戦略の検討や研究、サービス開発などを2014年に開始し、グループ各社から100名以上がワーキンググループに所属する。

「私たちの理念は、人類の存続に欠かせない食を守り、かつ食を通じて心の豊かさや幸福をもたらす社会を作りたいというものです。そして農業を中心に競争力を強化し、将来は若い人たちが働きたい、日本一魅力ある産業にするというビジョンを掲げています」。

ロボット農機を遠隔操作し
完全自動化を目指す

食農の分野には、生産、流通・販売、消費という柱がある。NTTグループはIOWNの先端技術やグループのソリューションなどを活用し、これらを三位一体で活性化しようとしている。

生産に関しては2019年6月、北海道大学と岩見沢市、NTTグループ3社で産官学連携協定を締結。最先端の農業ロボット技術とICTを活用したスマート農業や、スマートアグリシティ実現に向けた研究、技術開発を進めてきた。ロボット農機を遠隔制御し、農作業を完全自動化する無人農業を目指している。その実現のため取り組む研究開発テーマは、①高精度測位・位置情報配信基盤、②次世代地域ネットワーク、③高度情報処理技術および人工知能(AI)基盤の3つだ。

岩見沢市・北海道大学との実証実験では、農機の遠隔監視制御の有効性を確認した(左)。将来は、右のような小型のスマート農機が圃場で作業するようになると予想している

「ロボット農機はまず、農機自身のの位置を正しく把握しなければ、完全自動運転は実現しません。全地球測位システム(GPS)より高い精度の測位情報が必要です。そのためNTTでは、IOWNの関連技術であるクラウドGNSSを提供します。クラウドGNSSでは、農地特有の山や防風林が近くにあってもcmレベルの精度で測位情報を提供できます」。

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