転換する資本主義の姿 低成長時代の事業構想に必要な視座

株主だけでなく、顧客や従業員など関係者すべての利益を目指す「ステークホルダー資本主義」。この台頭の背景には、世界的に低成長傾向が続く中で、企業の利益追求の目線がより長期的なものになってきたからだと沖大幹氏は指摘する。低成長の時代にあるべき事業構想とは何か。

アメリカ的株主資本主義の変遷

「企業は主として株主に奉仕するために存在していて、企業の主目的は株主に経済的利益をもたらすことだ」

近代資本主義の象徴であるアメリカの大企業が今もこうしたいわゆる株主第一主義の原則を掲げていると思っていたら大間違いである。

アメリカを代表する約200の民間企業の最高経営責任者が参加するビジネスラウンドテーブル(BRT)は、2019年8月に「企業の目的」に関する声明を出し、顧客、従業員、取引先、地域コミュニティ、そして株主といったすべてのステークホルダー(関係者)への利益の供与と、企業、コミュニティ、そして米国の将来的な成功を誓っている。

・ 顧客には期待を超える価値を届けます

・ 従業員には適正な報酬と有意義な福利厚生を提供するのに加えて、急激に変化する世界に適応できるように新たなスキルを身に着けるための訓練や教育を通じた支援をします。多様性と包摂性、尊厳と尊敬を育みます。

・ 取引先には公正かつ倫理的に対応します。規模の大小を問わず、我々の使命の達成に貢献してくれる他の企業にとってよいパートナーであろうと努力します。

・ 地域社会を支援します。地域社会の人々を尊重し、事業全体で持続可能なやり方を採用して環境を保護します。

・ 企業の投資、成長、革新を可能とする資本を提供してくれている株主には長期的な価値を生み出します。透明性や株主との効果的な関係を重視します。

ほんの300語あまりの短い声明に掲げられた5つの項目には、「持続可能な開発のための2030アジェンダ(アジェンダ2030)」あるいは持続可能な開発目標(SDGs)への企業の取り組みに対応するエッセンスが力強く簡潔にとりまとめられているのがわかる。

株主資本主義からステークホルダー資本主義への大転換だ、という解釈も聞かれるが、実は必ずしもそうだとは限らない。

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