2021年2月号
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サイバー文明の夜明け ~激変する経済環境を生き抜く

通信技術の革新は、ビジネスのあり方をどう変えるか?

國領 二郎(慶應義塾常任理事、慶應義塾大学総合政策学部教授)

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デジタル化による社会構造や規範の変化を“文明の転換”と捉えて新たな文明における経済や経営のあり方を考える本連載。今回はトレーサビリティを支える技術を考察する。通信技術の革新により追跡できないものがなくなりつつある今、どういう新ビジネスが考えられるだろうか。

5Gの「低遅延」「同時多数接続」
をどう生かすか

トレーサビリティとは何で、それが経済社会の姿に大きな意味を持っているかについて語ってきた。今回は5G(第5世代移動通信システム)などの技術によるトレーサビリティの進化について解説したい。大きく分けて「ネットワーク技術」と「センシング技術」の進化の2種類が注目ポイントとなる。

ネットワーク技術として話題の中心は5Gだろう。最近になって、アップルが5G対応のiPhoneを発売するなどで、日本でも身近な存在になってきた。米中の技術主導権争いなどの記事でご覧になっている方も多いのだろうと思う。政治的なつばぜり合いは5Gが世界のデジタル化の中核を担う技術と思われていることの表れといっていい。

5Gの大きな効用は「低遅延」と「同時多数接続」だ。低遅延は文字通り、反応の遅れがないことを意味している。従来のスマートフォンなどは、大容量ではあるものの、混雑時などに、情報を要求してから届くまでの時間が遅延することがあった。メール、SNSや情報検索のときは多少の遅延があってもよかったのかもしれないが、今後IoTで精密な機器の制御をすることを考えるとそれではすまされない。5Gは機械同士で文字通り「瞬時」のコミュニケーションを実現する。同時多数接続は、スタジアムなどの場所で、同時に多数の端末が画像などの大容量で通信を行うことが可能であることを意味している。これから接続される端末数が飛躍的に大きくなっても安定的に通信を行うことができる(表)。

表 トレーサビリティを進化させる技術

出典:筆者作成

 

5G以外にもまだある、
ビジネスを変えうる通信技術

5Gほど目立ってはいないながら、今後大きな役割を果たすかもしれない他の通信ネットワーク技術があることにも留意したい。LPWA(Low Power Wide Area:低消費電力広域無線システム)や、成層圏飛行機や気球を使った通信システムなどである。LPWAは5Gほどの速度は出ないが、低消費電力で広い範囲の通信を可能とする技術だ。複数種類があってそれぞれに特徴があるのだが、電池1本で理論的には10年運用可能なものまである。電力供給がない場所でもトレーサビリティを実現できることの意味は大きい。長距離通信が可能であるところも特徴で、Wi-fi のように基地局をたくさん建てる必要もない。回線コストや機器コストが5GでIoTを実現するよりも小さくなるのが魅力である。

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