リアルとファンタジーを繋ぐ ファッションデザイナーという仕事

アパレル業界のみならず、ゲームなど全く異なる業種からもコラボレーションのオファーが後を絶たないブランド『KEITA MARUYAMA』。1994年より自らのブランドを率いる丸山敬太は、新型コロナウイルスの影響で不況が続くアパレル業界の中にありながら、次々と新たな挑戦に取り組み続けている。

文・油井なおみ

 

丸山 敬太(ファッションデザイナー)

ファッションはリアルライフと
ファンタジーの世界をつなぐ

丸山の原点は、幼い頃に観た昭和のブラウン管の中にあるという。

「僕が子どもの頃って、テレビの中にもっともっとクリエイティビティがあったんです。歌番組のアイドルたちの衣装は華やかでしたし、黒柳徹子さんは森英恵さん、いしだあゆみさんはイヴ・サンローラン、芳村真理さんは世界中のトップデザイナーのものなどを着て出ていらして。憧れましたね」

と同時に、デザイナーの成功の形が"定型"としてある最後の世代とも語る。

「自分の名前でブランドを立ち上げ、パリでコレクションをして洋服が世界中で売られ、香水を出して、という流れが成功の証と刷り込まれた最後の世代。もちろん今とは全く時代も価値観も違います。ただ、そこに向けて努力、行動をしてきた結果、今の自分が作られたのかな、とは思っています」

KEITA MARUYAMAとしてパリコレにも参加し、人気デザイナーとして名を馳せてきたが、丸山は"定型"にはこだわらない。面白いと思ったら、どんどん新しいことに挑戦していく。

とくに話題となったのは、2016年の人気ゲームコンテンツ『うたの☆プリンスさまっ♫』とのコラボ。ゲーム内に登場するアイドルたちのステージ衣装のデザインを手掛けた。

「皆さん驚かれて、取材も多くいただいたんですけど、僕的にはなぜ驚かれるのか不思議で。自分はゲームをやらないので、最初は確かに"え、どういうこと?"という感じでしたが、お話を聞いたら"面白そう!"って(笑)。自分に声をかけてくださった意図がよく理解できました。僕自身、アイドルの衣装に惹かれていたり、実際、ドリームズ・カム・トゥルーさんの衣装をやらせてもらったりもして、ファッションとエンタメをつないできた人間なんです。ゲームもエンタメのひとつ。登場するキャラクターや人物に素敵な衣装を着せるということは、いつもの自分の仕事と何ら変わりませんから」

2020年6月、10周年を迎えた『うたの☆プリンスさまっ♫』は再び丸山を招き、MVを制作。また、5月には、人気のキャラクター着せかえゲームアプリ『ポケコロ』ともコラボし、好評を博すなど、ゲーム業界からも強く支持を得ている。

「お買い物の意義って、単に必要な物を購入することだけでなく、自分へのご褒美感や手に入れた達成感とか、買い物に付随するメンタルも含まれると思うんです。ゲーム内のアバターにKEITA MARUYAMAの服を買ってあげたというのは、自分に洋服を買うのと同じくらい価値があるんですね。価値の捉え方が物質至上主義でなくなってきているんです。洋服を買うという行為のエモーショナルな部分は満足できる、新しい形なんだと思います」

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