2020年12月号
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統計から読み解く世界の課題とビジネスチャンス

世界の8億人が抱える「手洗いニーズ」を満たすには?

高木 超(慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特任助教)

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日本では新しい生活様式のひとつとしてこれまで以上に定着してきた“手洗い”。しかし、統計データを紐解くと世界では未だ30億の人々が、子どもたちに限れば8億人が日常的に手洗いできない状況にある。衛生ニーズが世界中で高まるなか、大きな潜在市場であるともいえる。

石けんで手を洗うことは
当たり前なのか

国連児童基金(ユニセフ)は、国際衛生年にあたる2008年に、世界中に正しい手洗いを広めるべく、毎年10月15日を「世界手洗いの日」と定め、世界各国にその重要性を伝えている。

石けんで手を洗う――、日本で暮らす私たちからすると一見当たり前の行為のように思えるが、世界中でも同じく当たり前なのだろうか。

答えは、「当たり前ではない」である。屋外排泄が習慣化されており、手洗い施設も整備されていない環境下で、下痢や感染症によって命を落とす子どもたちが世界には多数存在する。2020年現在、世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症に対しても、その感染を抑制する最も安価で効果的な予防法として「石けんで手を洗う」という行為が注目を集めているが、世界でどのくらいの子どもたちが、石けんで手を洗うことができるのだろうか。

石けんで手洗いのできる
子どもの数

本連載の主題である持続可能な開発目標(SDGs)において、石けんを利用しての手洗いの重要性は、複数のゴールで取り扱われている。例えば、ゴール6「安全な水とトイレを世界中に」のターゲット6.2では、「2030年までに、全ての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、並びに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う1)」と明記されている。このターゲットの進捗を測る指標として、「6.2.1:石けんや水のある手洗い場を利用する人口の割合」が設定されている。

この指標の進捗に関して、ユニセフと世界保健機関(WHO)が発行した報告書2)によると、世界人口の60%が石けんと水で手を洗う設備を自宅に備えている(2017年)。裏を返せば、世界人口の40%にあたる約30億人は、石けんと水で手を洗う設備が自宅にない、もしくは何らかの制限がある状況下に置かれているということである(図1)。また、同報告書は、後発開発途上国の人口の4分の3近くは、石けんや水を使った手洗い施設を持っていないとも述べている。

図1  世界で5人に2人は、石けんで手を洗う施設にアクセスできていない(2017)

出典:参考文献2より

 

次に、子どもに焦点を当てて考えてみよう。SDGsのゴール4「すべての人に質の高い教育を」のターゲット4.aでは、「子供、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、全ての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする」という目標が定められている。このターゲットの進捗を測る指標4.a.1の中の細分化された指標として「(g)基本的な手洗い施設が利用可能な学校の割合」が設定されている。

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