コロナ時代の教育現場に求められるサービスとは?
数々の統計データからSDGsに関する課題を読み解く連載第2回のテーマは電力と教育。コロナ禍で一気に進んだデジタル教育だが、環境や機会の不平等も明らかとなった。よりよい教育を実現するためには、親や教師を支える仕組み・サービスも必要だ。
3億人の子どもが無電化環境に
SDGsは17の目標から構成されるが、SDG7はエネルギー問題についてのSDGであり、「すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことを目標に掲げてる。1990~2016年にかけ、新たに27億人(世界人口の約36%)が電力を利用できるようになった一方、2016年において、全世界では未だに9億4000万人が電気のない生活を送っており、そのうち3億人は子もである(図1)。
図1 所得グループ別1) 電気のない家庭にいる子ども数の変移(2000~2016年)
新型コロナパンデミックは、教育にも大きな影響を与えた。感染防止のため、世界中の学校が閉鎖され、2020年5月には約16億人の生徒が自宅学習を命じられた。政府や教育関係者は、テレビ・ラジオ・インターネットあるいはプリント学習を含むさまざまな方法を利用して、子どもたちの学習を継続するために迅速に対応してきた。ユニセフ・ユネスコ・世界銀行の調査によると、世界127カ国のうち68%の国がデジタル通信機器を利用した方法とプリント配布などの非デジタル手法の両方を用いて家庭学習をサポートしていることが分かった(図2)2)。
図2 2020年5~7月にかけての
遠隔教育の実施状況(127カ国)
しかし、こうした遠隔学習への取り組みは、すべての子どもたち、特に最も恵まれない子どもたちの家庭学習をサポートするには不十分である。ユニセフによる最新のリサーチによると、幼稚園から高校生までの全世界の生徒の3分の1、少なくとも4億6300万人以上がテレビ・ラジオ・インターネットを利用した家庭学習にアクセスできなかった3)。全世界的な傾向として、コロナ禍における家庭学習を実施するために必要なパソコンやテレビなどの電気製品は、都市部や高収入の家庭に偏在している。そもそも、前述のとおり、全世界の子どもたちのうち3億人は電気のない家庭で生活している。そのため、政府がネットやテレビ・ラジオによる家庭学習を実施しようとしても各家庭に対するパソコンの支給のみならず電源の問題に対応しなければ、実際に子どもが家庭学習を継続することはできない。
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