行政のデジタル化対決 富士通vsNEC

コロナ禍のもと、行政デジタル化の遅れがクローズアップされるようになった。人手不足、人口減少を背景に、行政の業務効率化とサービス向上が重要課題となる。テクノロジーの進化を牽引し、社会のデジタル化を進めてきた富士通、NECの現在を見る。

社会のDXを推進する2つのICT企業

新型コロナウイルスの感染拡大によって、働き方やライフスタイルなど、社会も個人も様々な見直しを迫られることになった。給付金支給をめぐる行政のアナログな業務のあり方もその一つだ。図らずも露呈した「デジタル後進国」ぶりの是正に向けて、新政権も「デジタル庁」創設を掲げるなど大きく舵を切った。「DX」は、もはや一部業界のバズワードではなく、国家レベルのキーワードになっている。

日本のデジタル化を担ってきたICTベンダー各社の対応も、ますます熱を帯びてきた。

富士通は、この5月、日本政府向けのクラウド事業に本格参入し、デジタルガバメント向けクラウドサービスの販売を開始した。自社の国産クラウドサービスを基本とすることでデータ流出リスクを低減し、オープンソースソフトウェアによって、要件ごとに最適なシステムを構築する。2015年に体系化したAIの「Zinrai」、RPAの「ACTIBRIDGE」によって、地方自治体に業務効率向上のための様々なソリューションを提供してきた実績と総合力を、中央省庁やその関連機関にも活かすべく、着々と足場を固める。

一方、NECも、7月から、官庁などがAWSなどのパブリッククラウドを安全に利用できるマルチクラウド対応接続サービスの提供を開始した。オンプレミス環境とパブリッククラウド環境を閉域回線で接続する、設計・構築済の環境を用意し、簡易で低コストのサービスを目指す。また、11月からは、クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」を強化し、政府情報システムのセキュリティ評価制度に対応したセキュアな環境の提供を開始する。

国連の発表する電子政府ランキングによると、日本は第14位(2020年調査結果)で、北欧諸国などに大きく遅れをとる。2025年にIT人材不足が約43万人に倍増する、いわゆる「2025年の崖」も間近に迫る。民間企業、政府・地方自治体を問わず、DXはもはや待ったなしの段階にある。技術ありきで実効性のないデジタル戦略や、単なる業務効率化のためだけの守りの施策ではなく、現場本位で創造的な変革につながる、ビジョンに裏打ちされた具体策が求められるなか、大手ICT企業の豊富なリソースと知見にかけられる期待は大きい。

両社概要

富士通

創業 1935年
本社 神奈川県川崎市
代表 時田 隆仁(代表取締役社長)
資本金 3, 246億円
従業員数 129, 071名
事業内容 ● テクノロジーソリューション(システム構築、データセン ター、クラウドサービス、ネットワークサービスなど)
●ユビキタスソリューション(パソコンなど)
●デバイスソリューション(LSI、電子部品など)
グループ企業 富士通フロンテック
富士通テレコムネットワークス
富士通ITプロダクツ
富士通研究所 など国内連結子会社 93社

出典:同社ホームページ/第120期株主総会添付資料

 

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