伝わるコミュニケーションで若手社員のやる気醸成

2020年4月に日本ハム冷凍食品の社長に就任した植月実氏。まず社員に伝えたのが「企業ブランドに甘えず、フォロワーとしての自覚をもって仕事に臨むこと」だった。次代を担う若手社員と会社の方向性を共有しながら、グループの強みを生かした商品施策を展開する植月社長に事業戦略と人材育成について聞いた。

植月 実 日本ハム冷凍食品 代表取締役社長

――会社の現状と課題についてお聞かせください。

日本ハム冷凍食品は冷凍食品の専門メーカーですが、上位メーカーの多くが業務用、市販用の両方を扱う中で当社は家庭用冷凍食品のみを扱っています。日本ハムという冠は当社にとってメリット、デメリットの両面があると思っています。

メリットは、ハム・ソーセージメーカーNo1でプロ野球球団も持っているブランドとしての知名度です。一方デメリットとしては、強いブランド力ゆえにそこにおごりが出たり、ぶら下がってしまいがちだということです。

事実、当社は冷凍食品業界の中での売上規模で比べると10位にとどまっています。リーダーと呼べる位置にはおらず、あくまでもフォロワーです。社員に対してもまず会社が置かれている状況をまず理解してもらい、そのうえでやるべきことを考えていきました。

――どのような手法をとったのでしょうか。

社長就任後、まず全従業員一人ひとりと面談を行っています。私自身を知ってもらうとともに、社員の思い、考えていることを知りたいと思いました。そのなかで会社に対して感じていること、意見があればそれもできるだけ引き出す努力をしました。

当社の従業員数は55人のうち約3割を20歳代が占めています。次代を担うこれら若手社員に対して、当社はあくまでも業界10位の立場にあるということを伝えながら、それをふまえてどのような会社でありたいのか議論をし、ビジョン、ミッション、バリューを新たに策定しました。

社員からは「業界のリーダーになりたい」「お化け商品が欲しい」「カテゴリーナンバーワンが欲しい」「お肉のメーカーとして誇りを持ちたい」といった意見が出てきました。それらを集約し「家庭用冷凍食品市場の中でも、畜肉総菜と中華カテゴリーでナンバーワンになろう」というビジョンを決めて、走り出しました。目指す方向性が決まり、日々の仕事の中でもやるべきことがより明確になったのではと思います。

――組織として目指す方向が決まり、それをどのように実践に移していったのですか。

業界での立場を自覚したときに、営業のアプローチも変わってきます。これまではトップ同士のつながりはありましたが、そこに甘えていてはいけません。冷凍食品は量販店の中の一部門なので、その部門の担当者、責任者とのコミュニケーションをしっかりとっていかないといけないと思っています。

次に商品政策ですが、冷凍食品と聞けば、みなさんまずお弁当のおかずというイメージが強いと思います。しかしこのマーケットは少子化により年々縮小しております。当社はお弁当の商品が強かったので、影響を受けています。代わりに伸びているのが夕食のおかずの一品としての用途です。そこでボリューム感が求められる夕食マーケット向けに当社の強みを生かした本格的な商品をお届けしようと考えています。

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