2020年9月号
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知が創る未来ビジネス

P2Pのフラットな世界の到来 個人の「知」が問われる

早川 典重(事業構想大学院大学 特任教授)

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一人一人がつながり、フラットな関係を築くP2Pの世界では、今までは組織のベールに隠れていた個人個人の評価があらわになる。個々人の「知」や「信用」が問われる時代となり、慣例とらわれない挑戦が求められる。

コンプライアンスの名の下、
新たな挑戦が難しく

前号でポストコロナの世界は3つの点、すなわち①過去の慣習にとらわれずパラダイムジャンプ的変革の絶好な機会、② 社会のフラット化・Pier2Pierの社会、③自分の時間の増加、という点がコロナ以前の世界とは異なるとお伝えしました。

今回は、P2Pの社会の意味することと、知の関係について深掘りをしてみたいと思います。

社会のフラット化の反対はバーチカル・垂直統合、すなわち中央集権型になります。現在の日本の大きな会社・組織は、2003年の国後島事件以降からコンプライアンスの名の下で中央集権化が強化されてきました。このコンプライアンスという魔法の言葉にかかると、どんな人の議論も思考停止になり、本質の議論や新たな挑戦をすることが難しくなります。

本来の組織の理念や良い仕事をすることよりも、組織の運営はコンプライアンスが最優先されてしまい、本末転倒になってしまいます。何よりもコンプライアンスを第一にするのであれば、何もしないことが一番であり、あえて組織を運営する必要がありません。

私は、何もコンプライアンスを軽視しろと言っているのではなく、思考の順番が違っているのではないかということをお伝えしたいのです。まず、こんな事業をやってみたいという思いがあり、実行にあたっては法やルールを調べて遵守する必要がありますが、一方では、法律や会社のルールを問い直す必要もあります。

法律やルールに抵触しないで行える他の方法はないのか? 本当にその法やルールは正しいのか? その法やルールがおかしいのであれば、変えることは出来ないか? そういったことを正面から考えるべきであろうと思うのです。

その結果、どんな素晴らしい事業であっても法令遵守のためにGive upするのは仕方が無いのですが、その過程において、「なぜ?」と考えること、変えること、挑戦することが抜けてしまっていることが課題です。

ルールや慣習にとらわれず、
柔軟に変化を遂げるべき

さて、コンプライアンス絶対主義の結果、何が起こったかというと、報告の強化と現場主義と言いながらの中央集権化です。それは、とりも直さず報告第一主義、形式主義、思考停止、無責任感の蔓延です。報告しておけば免罪符が得られるため、上司の指示に従い、しっかりとしたレポートをつくり報告する。そして、その上司も同じことを繰り返す。自身の判断で責任を持って対処せず、自己責任が放棄されます。

私が入社した頃は、「ルールは破るためにある」「ルールに例外はある」「おかしなルールは作り直せ」と言われたものでした。もちろん、安易なルール破りは当然厳罰に処せられます。

しかし、自分の仕事に信念を持ち、会社にも社会のためにも本当に役に立つ仕事を進めようとした時に、そのルール自体が古いために新たなビジネスモデルに適合していなかったり、そもそも当初よりおかしなルールであれば、しっかりと議論を進めて、常識と慣習にとらわれず柔軟に変化を遂げるべきなのだと思います。

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