事業アイデアを生み出す『問いのデザイン』ほか注目の新刊

――どのような人に読まれていますか。

塩瀬 組織内で会議のファシリテーターを務めたり、新企画のチームを率いたりするリーダーに読まれているようです。また合併・統合で異なる風土の組織がビジョンを擦り合わせたいときに、問題意識のデザインが求められていると感じます。

安斎 アイデア出しと銘打ってワーク ショップを行っても名案が出ず、人は しばしば疲れて閉塞感を感じています。 良質のワークショップを期待する読者 に伝わればと思います。

――「固定性を揺さぶる」の重要性は。

安斎 人は特定の組織形態で特定の事業に取り組むうち、暗黙の思い込みに囚われがちになります。how(手段)に目を奪われるのでなく、根本的にどのような想いを持って事業に取り組んでいるか、事業の意義(why)を問うことが必要です。例えば、カーナビや万歩計を通じ、未来の移動の時間・人の健康を我々はどうデザインしたいか?と位置付け直すことで、手もとにあるリソースが増え、打開策が明らかになります。

塩瀬 本書では「認識と関係性の刷新」と表現しています。人智を越えたアイデア発想を頼って待つのではなく、既にもっているリソースに違う角度から光を当てることです。

――ワークショップの中で問いの質を高める工夫とは何ですか。

安斎 課題解決に到るプロセスのデザインが重要です。例えば、ファシリテーターが、都度、議論の眼差しをうまくガイドする、つまり「足場を掛ける」ことで、有効な解決策の提示に結びつけていけます。

塩瀬 運動を始めるにはストレッチが必要なように、クリエイティブな会議を行うにも段取りが必要です。ファシリテーターは、アイデア出しの段階で、異なる分野から見た素人性を活用して問いの質を上げ、実施の段階ではプロの力で組み上げるといった切り分けを行います。結果として分野外の人も対等に視野を広げる側として参加できます。

――問いのデザインは新事業の構想にとってどう有効ですか。

安斎 欧州では、チーム内で対話し新たな意味を生み出すことがイノベーションの契機として注目されています。自分たちの事業に対する思い込みから抜け出し新事業を生み出すトリガーとして「問いを変える」ことが有効だと考えています。

 

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