マスク生産メーカー対決 アイリスオーヤマvs.シャープ

新型コロナ感染拡大に伴って、政府は各企業にマスク増産を依頼した。生活用品のアイリスオーヤマも、異業種のシャープも、国内工場を改修し、それぞれの技術を活かして対応した。マスク増産の動きとともに、両社の衛生関連技術を見る。

マスクの進化に新たなページを開いた2社

新型コロナウイルス感染拡大の第二波、第三波の懸念もあり、今後しばらく、マスクの着用が当たり前の社会となることは間違いない。日常的に手放せないアイテムになるとすれば、ファッション化も高機能化も進展して、異業種の参入も加速する。

政府は国内の企業各社にマスク増産を要請したが、その中には、アイリスオーヤマのように、マスクはもちろん生活用品、ペット用品から家電まで様々な分野を手がけるメーカーもあれば、シャープのように、マスク生産とは縁遠そうなメーカーもあった。

アイリスオーヤマでは、政府の要請を受け、宮城県角田工場の一部を改修してマスク生産を開始した。同社はこれまでも様々なマスクを生産しているが、6月に発売された「ナノエアーマスク」は完全国産で、特に着用時の蒸れや息苦しさを緩和することを意識している。3層構造の中間に使用したフィルターは、「特殊ナノファイバー加工」によって高い捕集性能と通気性を獲得するとともに、着用時の口元の温度上昇を同社製品比で約0.6℃緩和できるという。

これからの猛暑に向け、いかに涼しいマスクにするかについて各社が知恵を絞るなか、今後アイリスオーヤマならではの技術の真価が試されることになりそうだ。

一方、シャープは、政府の要請に応じて2月28日にマスク生産を決定したあと、短期間で生産体制を整え、3月24日から三重県多気工場の液晶ディスプレイ向けクリーンルームに製造ラインを設置して生産を開始した。当初1日約15万枚を目指したが、その後1日50万枚まで増強した。4月21日には自社ECサイトで抽選による個人向け販売を開始したが、当選倍率は、増産効果で下がってきたものの、6月時点でも100倍以上という高水準が続く。

オーソドックスな3層構造の不織布マスクだが、顎部分にさりげなくあしらわれたロゴや、手に入りにくい「特別感」もあって人気になっているようだ。独自の空気浄化技術「プラズマクラスター」の効果にも定評があるだけに、異業種ながらマスクの信頼性にも期待が高まった格好だ。

家電大手では、パナソニックも5月からマスク生産を開始している。アパレルのユニクロ、寝具の西川、スポーツ用品のミズノ、スーツの青山、下着のグンゼ等々、今や数多くのメーカーがマスク生産に乗り出し、マスクは独自のアイデアを競う1大ジャンルとなった。今後の技術開発競争の成り行きに注目したい。

両社概要

アイリスオーヤマ

設立 1971年
本社 宮城県仙台市
代表 大山 晃弘(代表取締役社長)
資本金 1億円
従業員数 4, 081名(2020年1月)
事業内容 オーヤマ、アイリスプラザ、アイリスチトセ、
アイリス・ファインプロダクツ、アイリスフーズ
など国内13社、海外15社

出典:同社ホームページ

 

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