隠れた「空き家」情報をデータベース化 新しい暮らし方を支える

800万戸を超えるといわれる空き家は家族の事情などで、売買されずに放置されるケースも多い。そうした空き家を探し出してデータベース化し、不動産会社がオーナーに売却を働きかけやすいプラットフォームを運用する企業を探った。

和田 貴充(空き家活用 代表取締役社長)

空き家活用株式会社は、不動産会社向けに、一戸建てやマンションの空き家情報を提供している。2018年に空き家活用データシステム「AKIDAS(アキダス)」をリリースして200社以上の不動産会社が利用している。

「AKIDAS」のホームページ

和田社長は20歳で父の家業を承継し、24歳で廃業、不動産業界で経験を積んだ後に、2010年に大阪で起業している。セミオーダーの一戸建て新築分譲住宅の販売会社を経営し、顧客からも好評を得ていた。

順調に不動産事業経営をしている和田氏に転機となる出来事があった。それは、経営者仲間と長崎県の通称軍艦島を訪れた時のことであった。軍艦島(端島)は、世界遺産に登録されている産業遺産であるが、明治から昭和にかけて炭鉱の島として栄えた島である。狭い敷地に多くの炭鉱夫が家族とともに生活していただめ、住宅は日本でも初めての鉄筋コンクリートの住宅が建てられているほどの最先端の場所であった。それが1974年の閉山後は、島自体が廃墟となり、鉄筋コンクリートの住宅も朽ち果てて誰も住めない状況になっていた。

その様子を見た経営者仲間から、「君たちの不動産・建築業界が、日本中に軍艦島をつくろうとしている自覚はあるか」と問われたことが、原点になっている、と和田貴充社長は言う。人口減少で空き家がどんどん増える中、経営者としては、日々の事業で、売上や利益を上げていかなければ立ちいかなくなることにジレンマを感じていた。そのようななかで構想されたのが、空き家活用データシステムであった。

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