2020年8月号
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知が創る未来ビジネス

停滞する日本 幻想から脱却し、世界を正しく見る視点を

早川 典重(事業構想大学院大学 特任教授)

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今、世界において、日本はどのような立ち位置にいるのか? 日本人の多くが、データに基づかずに、事実とは異なった世界の見方を正しいと信じ込んでいる。事実を事実として冷静に受け止め、世界を正しく見る視点を持つことから、未来は拓かれる。

前号でポストコロナの世界は、危機であると共に、幕末や戦後のような絶好の機会であるとお伝えしました。特に3つの変化が起こる。1つは、戦後70年に渡って積み重ねられてきた成果にあぐらをかいている状況や慣習からの変革であり、2つ目はP2Pのフラットな社会の出現であり、そして3つ目は、自分の意思で決めることのできる時間の増大です。

さて、自宅にいる時間を活かし、ベストセラーの本「FACTFULNESS」を、ゆっくりと目にする機会を得ました。読みながら、私が大学院で伝えていることと同じことを考えているなぁと相槌を打つと共に、日本人だけではないのだなと感じたのです。

何を感じたのか? 人は、知識人や専門家と呼ばれる人も含めて、事実やデータに基づき偏見をもたずに物事を把握することはなかなかできず、その結果、現実を正しく理解せず「時代遅れの歪んだ世界の見方」で判断し行動してしまうということ。そして、もっと恐ろしいのは、個人だけでなく、社会全体が疑いもせずに、事実とは異なった世界の見方を正しいと信じているということです。

私は、仕事の関係で海外の多くの人たちとお会いする機会があります。商社に入って、特にアジアの人たちと事業をつくる際に、20世紀は日本への憧れや技術力に対しての尊敬の念を感じました。

それが2010年を過ぎる頃になると、目線が変わってくるのを肌で感じたものです。日本はもはや遅れて進歩の無い国、停滞している国、決めることのできない国。日出る国ではなくて、日が沈みいく国。しかし日本人の多くは、未だに日本はアジアの盟主であり、GDP世界第3位の国と最先端の国と思っているのかも知れません。

自分たちを先進国と思い込み、
茹でガエルになっている日本

今回のコロナの対応で、特別定額給付金等の支給だけでなく様々な手続き、Webを使った教育や医療を含めて、日本はITの後進国であることが露呈しました。AIやロボットを使えば数秒のうちに自動で処理できることを、人が何時間もかけて処理をしている。

ふと、20年以上前に見たインドネシアのタバコ工場の光景を思い出しました。タバコを2万人もの従業員が並んで手で巻いていたのです。オートメーションで自動に大量生産されるタバコ工場と2万人もの人がタバコを手で巻く工場では、どちらが生産性が高いかは自明のことでしょう。

海外から日本を見ると、システムが数秒で処理することを、人が籠って手で書類の処理をやっている光景は同じようなものかも知れません。少し補足すると、当時インドネシアの工場は何もオートメーションを導入できなかったのではなく、少しでも人々に仕事を確保するために敢えて人海戦術をとっていたのです。しかし、日本は故意にデジタルトランスフォーメーション(DX)を遅らせているのではなさそうです。

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