ウェブ会議システム対決! Zoom vs. Cisco Webex

新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、急激に広がりつつあるテレワーク。在宅勤務の環境整備など「特需」が高まる中、最も注目されるのがウェブ会議システムだ。普及が急拡大するZoomと、既に豊富な実績のあるCisco Webexのシステム概要を見る。

テレワーク新時代に注目される、2つのシステム

新型コロナウイルスの感染拡大とともに、これまで遅々として普及が進まなかったテレワークが、さまざまな課題をかかえながらも拡大し、事業規模に関わりなく、あらゆる組織が業務効率の見直しなどの急激なパラダイムシフトを迫られている。その変革の主役ともいえるのが、ウェブ会議システムだ。

数あるシステムのなかでも、このところ、にわかに利用が拡大しているのが、米国Zoom Video CommunicationsのZoom Meeting。同社は、2011年にエリック・S・ヤンが起業した新進企業で、欧米が新型コロナ禍のただ中で喘いでいた3月中旬、米国、イタリア、日本の学校にシステムを無償提供したことで、急速に認知度が向上した。同社の株価も急上昇して、1月からのふた月間で倍増した。

Zoomが急成長した要因は、新型コロナの感染拡大で急に在宅勤務を余儀なくされて戸惑う人々にもすぐに使える手軽さにあったといえる。これまでの定番だったSkypeのように、相互にアカウントを持つなどの準備も必要なく、ボタンを押すだけでミーティングに参加できる。通信データ量を抑えているために、画像が途切れることもない。にわかテレワーカーにもストレスなく使えるシステムなのだ。

一方、Cisco Webex Meetingsは、ネットワーク・ソリューションなどで豊富な実績を持つCisco Systemsが2007年にWebexを買収、両社の名を冠したシステムで、世界115ヵ国、12億人に利用されている。こちらも、ボタンを押すだけで参加できるが、スケジューリングから通知、開催、議事録作成までスムーズに実行できるなどのプロフェッショナリティーが強みだ。

また、720dpiという高画質と優れた音質にも定評がある。ウェブ会議システムの映像は、往々にしてテレビ会議システムなどに比べて劣るが、手軽なウェブ会議システムで高画質・高音質はありがたい。電話会議サービスとの連携もできるので、電話回線を使って会議に参加すれば、音声が聞き取りづらいといったトラブルも小さくなる。会議で使用するファイルも、いちいちアップロードすることなく共有でき、参加者が注釈などを書き込むこともできるので、高度な共同作業もスムーズだ。

いずれにせよ、もはや誰もがこうしたシステムに慣れておく必要がある。新型コロナウイルス感染拡大という思いがけない契機によって、実はテレワークでも充分に生産性が確保できることを、多くのビジネスパーソンが実感してしまった以上、テレワークは、臨時のBCP体制ではなく新しい働き方として、今後一気に定着する可能性があるからだ。

両行概要

ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ

設立 2011年
本社 米国カリフォルニア州サンノゼ
代表 エリック・S・ヤン
従業員数 約2,000名
調達資金 1億4,550万ドル(セコイア、エマージェンスより)

出典:Zoom media kit

 

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