スマートシティ構想対決!竹芝 vs. 羽田

IoTや5Gなどの先端技術を駆使して、人口集中や環境、エネルギー、モビリティなどの社会課題解決を目指す次世代型都市、スマートシティ。都内で進む2つのプロジェクトにおける取り組み内容を俯瞰する。

地域密着のスマートシティモデルを提示する2つのプロジェクト

IoTの活用によって、モビリティ革新やエネルギー最適化などの環境・社会課題解決を図り、生活利便性を高めるスマートシティの建設が、世界中で進む。先頃も、トヨタの豊田章男社長が「ウォーヴンシティ」構想を発表して話題になったが、同社は春にも静岡県裾野市の同社工場跡で建設を開始する。都内では、竹芝地区と羽田地区で次世代型のスマートシティがまもなく開業する。

東京ポートシティ竹芝は、東急不動産と鹿島建設が設立したアルベログランデを事業主体として、竹芝地区に地上40階地下2階のオフィスタワーと、地上18階のレジデンスタワーを建設する複合開発プロジェクトだ。東京都の「都市再生ステップアップ・プロジェクト」の一環で、首都高速をまたいで浜松町駅から竹芝駅・竹芝埠頭をつなぐ全長約500mのバリアフリーデッキも設けて、地域の賑わい再生にも貢献する。公民恊働によるエリアマネジメントも新しい試みだ。

オフィスタワーにソフトバンク本社が入居することもあり、地域一帯が、5Gとビッグデータをベースに、ロボティクスや次世代型モビリティ、AR、VR、ドローンなどの先端技術、MaaSなどの次世代型サービスの可能性を実証する舞台となる。実証実験には、MONET Technologies をはじめ7社が参加する。エネルギープラント導入によって通常時の80%の電力を5日間提供できるBCP体制も最先端だ。

一方、HANEDA INNOVATION CITYは、鹿島建設をはじめ、ダイワハウス工業、京浜急行電鉄など9社が出資するコンソーシアムを事業主体として、羽田空港の南、約6ヘクタールのエリアに、天空橋駅と直結する形で建設される。大田区が「新産業創造・発信拠点」の形成を目指して公募したもので、l国土交通省のスマートシティモデル事業の重点事業化促進プロジェクトでもある。

大田区の羽田一帯には、先端テクノロジーを支える町工場が集積するが、担い手不足や生産性向上などの課題を抱え、高齢化に伴う交通弱者の増加や商店街の衰退も深刻だ。誕生するスマートシティは、そうした地域課題を解決する役割を担う。行政オープンデータなどをもとに総合的なデータプラットフォームを構築し、モビリティやヘルスケア、ロボティクス、ツーリズムの4分野でデータ活用による地域課題解決の理想形を提示する一方、「先端」と「文化」を軸にイノベーションを提供することが目標だ。

立地する地域の事情に応じてスマートシティの概念は変わり、単純な類型はありえない。次世代都市には、単なる先端テクノロジーのショーケースではなく、地域と密着して地域本位のソリューションを提示することで、あらゆる立場の人々に役立つ空間とする構想が求められる。

両社概要

東京ポートシティ竹芝

事業・施設名 東京ポートシティ竹芝(TOKYO PORTCITY TAKESHIBA) (竹芝地区開発計画)
所在地 東京都港区海岸1丁目20番9他
全体敷地面積 約15,590m2
延床面積 約201,159m2
事業主体 アルベログランデ(東急不動産と鹿島建設が設立)
開業スケジュール 2020年 開業予定
●オフィスタワー(A街区)
用途 事務所、展示場、集会場、飲食店、物販店舗、駐車場、 自転車駐車場
敷地面積 約12, 156m2、延床面積 約181, 777m2
規模 地上40階、地下2階、高さ約208m
●レジデンスタワー(B街区)
用途 共同住宅、店舗、保育所、駐車場、自転車駐車場
敷地面積 約3,434m2、延床面積 約19,382m2
規模 地上18階、高さ約60m

出典:東急不動産ニュースリリース 2019/11/5

 

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