スポーツ庁 地域資源を活かすスポーツツーリズムで地域振興

日本国内ではスポーツに適した様々な条件が整っているほか、訪日外国人の武道への関心も高い。スポーツは感動を与えるだけでなく、地域への社会的、経済的効果も生み出すことから、スポーツツーリズムによる地域活性化が期待されている。

スポーツ目的の訪日外国人数
2022年には250万人に

「Society 5.0 未来のまちづくりフォーラム」では、スポーツ庁スポーツ戦略官(地域振興担当)の坂本秀敬氏が「スポーツのまちづくり~武道ツーリズムへの取組~」と題する講演を行った。政府のスポーツに関する施策は従来、学校体育は文部科学省、障がい者スポーツは厚生労働省というように異なる省庁が担当してきた。そこで省庁間の調整で効率化を図り、相乗効果を生み出そうと、2015年10月にはスポーツ庁が設置された。

坂本 秀敬 スポーツ庁スポーツ戦略官(地域振興担当)

現在、政府が進める「第2期スポーツ基本計画」(2017~2021年度)では、スポーツの価値を具現化して発信し、スポーツの枠を超えて異分野と積極的に連携・協働することが1つの柱となっている。その施策には、スポーツやスポーツツーリズムを通じた地域活性化が含まれ、▽スポーツ目的の訪日外国人数を2022年までに250万人に増やす、▽スポーツツーリズム関連の消費額を3800億円に増やす、といった数値目標も掲げられている。

「スポーツは感動を与えるだけでなく、地域で社会的、経済的効果も創出します。例えば、地域のプロモーションになるほか、訪日外国人が増えれば、国際交流が活発になり、観光関連の雇用も増えるでしょう。さらに、訪れた人々による消費やイベントに伴う収入も期待できます」。

スポーツツーリズムは、スポーツの参加や観戦を目的に地域を訪れたり、地域資源とスポーツが融合した観光を楽しむツーリズムスタイルを指す。出発前のスポーツ用品購入や旅先でのイベント参加・観戦など、通常のツーリズムより関連消費が多いとされる。例えば、今年、日本で行われたラグビーワールドカップでは、海外からも非常に多くの人々が訪れた。これらの人々は試合を観戦するだけでなく、国内各地を観光して回った。

「地方の人口は減少していますが、スポーツをきっかけに旅行に来る方々が増えれば、地域活性化につながります。スポーツツーリズムの推進では、各地域の資源や特性が活かせます。『うちのまちには特徴がない』と言う方も多いですが、少し視点を変えれば様々なヒントがあるはずです」。

日本にはスポーツに適した様々な条件が整っており、スポーツツーリズムのポテンシャルは高いといわれる。例えば、日本のスキー場数は世界一で、ゴルフ場数は世界3位だ。また、海岸線の距離は世界6位、沿岸の魚類は世界4位でダイビングや釣りのようなスポーツにも適している。

さらに世界で最も降雪量が多い都市を見ると、1位が青森、2位が札幌、3位が富山となっており、上位3位まですべて日本だ。都市に近いところにスキー場が多いのも特徴で、スキーだけでなくナイトライフも楽しめるのは海外からの旅行者にとって魅力だ。

スポーツを通じた地域活性化を支援するため、スポーツ庁では現在、全国に118団体ある「地域スポーツコミッション」を、2021年度末までに170団体に増やす目標も立てている。

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