英国の旅行業総会をアジア初で誘致 MICE振興の足掛かりに

ANAとプリンスホテル、日本政府観光局、日本旅行業協会が実行委員会を組織し、誘致に成功。伝統ある英国の旅行産業の年次総会を、初めてアジアで開催した。英国人の新しい観光先としての日本と、欧州ユーザーの厳しい要求に対応したMICEが可能な実力を示した。

小堀 守(日本政府観光局 参与)

観光旅行がだれでも楽しめる娯楽になったのは、そう遠い昔の話ではない。団体ツアーや代理店による交通・宿泊の手配など、庶民でも安全に楽しめる、現在の形の旅行のシステムは、19世紀半ばの英国で生まれた。

英国旅行業協会(ABTA)は、伝統ある英国の旅行産業を代表する業界団体で、1950年に設立された。関連産業の振興を図るだけでなく、手厚い消費者保護策を敷くなどして、一般の人からも信頼を置かれる団体だ。例えば、ABTA加盟会社を通じたパッケージ旅行がキャンセルされたり、大幅な遅延が生じたり、あるいは旅行会社が破綻した際には、ABTAによる保償が受けられる。一般の人が旅行に出かける前のアドバイスや、消費者からの苦情への対応なども手掛けている。

ABTAでは毎年、英国外の観光地で総会「トラベルコンベンション」を開催し、旅行代理店やツアーオペレーター、メディアなどからの参加者に最新の情報を提供したり、アイデアを交換したりする機会を与えてきた。これまでは欧州や中東、アフリカなどが開催地として選ばれてきたが、2019年10月7日~9日には、アジアで初めて東京でABTA総会が開かれた。

ABTA総会オープニングセレモニーの様子。毎年の総会で実施している内容に、和風の要素が追加された

旅行業界の重鎮が来日

今回の東京での開催は、全日本空輸(ANA)、プリンスホテル、日本政府観光局(JNTO)、日本旅行業協会(JATA)などが連携して誘致したものだ。英国旅行業界の重鎮や、旅行会社のキーパーソンが集まるイベントをホストし、日本の魅力を体感してもらうことで、訪日旅行需要の拡大を狙った。ABTAは参加者数を公表していないが、今回、英国から約450人あまりが参加したとみられる。

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