神戸市・産学連携ラボ 質の高い市民サービスを提供
本年度より産学連携ラボを開設した神戸市。「神戸人口ビジョン」や2020年までの5ヵ年のマスタープランである「神戸2020ビジョン」の策定を踏まえ、大都市自治体行政による大学連携や公民連携の効果的な進め方などを、事例を中心に紹介する。
神戸市における公民連携の
目的と基本姿勢
神戸市が公民連携に取り組む目的は、第一に「市民サービスの向上」、第二に「行政コストの見直し」、第三に「地域経済の活性化」である。
具体的に「市民サービスの向上」とは、多様なニーズに対応できるきめ細かい市民サービスの実現であり、「行政コストの見直し」とは厳しい自治体財政・公民の役割分担の変化、「地域経済の活性化」とは地域のにぎわいづくり及び地元企業の発展・地域における雇用の創出を指す。
上記の目的を踏まえ、2013年4月に開設された「公民連携窓口(現:産学連携ラボ)」は、第一に「ワンストップ窓口により、迅速・柔軟な連携」、第二に「市と事業者が対等なパートナーとして、互いの強みを活かしたWin-Winの連携」、第三に「事業者アイデアの実現促進(意見交換の重視・アイデアを重視した選定)」を基本姿勢に取り組んできた。
その基本姿勢のもと、神戸市としては、連携の意義、内容について、相手方企業と議論を重ね、熟した状態で締結することで実効性のある協定を締結しており、包括連携協定の数は、2013年より現在までで10にのぼる。「数より質」を重視した包括連携協定の締結を通じて、効果的な公民連携を進め、市民サービス向上に最大の効果を出していく。
市内大学の人材育成
例えば、2018年12月に包括連携協定を締結した楽天との連携事業として、楽天技術研究所において、テクノロジーを活用して神戸の地域課題解決に資するソリューションの技術開発を目的としたインターンシップ実施している。
2019年7月から9月までの夏休み期間中、公募で選考された市内大学の院生が、特定の地域課題解決をテーマに、楽天技術研究所の研究員の指導を受けながらインターン実習を実施し、9月中旬に実証実験や報告会を実施した。その一つとして、9月上旬、神戸市立中央図書館において、来館者向けに、蔵書の紹介及び本への興味喚起を目的とし、タッチパネル方式のデジタルサイネージを活用した情報発信を行うための実証実験を行い、利用者には大変好評であった。今後とも、多くの大学等が集積している神戸市の強みと楽天のテクノロジーを活かした更なる人材育成を進めていく。
官民一体型新ビジネス創出
Urban Innovation KOBE
神戸経済の活性化や新たな雇用の創出を目指して、2015年度からスタートアップの育成支援を中心とし、IT産業など都市型創造産業の集積にむけた様々な施策を実施してきたが、2018年度から、従来の起業家育成プログラムに加えて、社会・地域課題を解決するために新たなサービス開発を行う「官民一体型新ビジネス創出事業(Urban Innovation KOBE)」を実施している。このプロジェクトは、柔軟な発想や優れた技術力を持つスタートアップと、社会・地域課題を詳しく知る行政職員が協働して、課題解決のための最適な解決手法を見出し、サービスとして構築・実証までを目指すことを支援する、日本で初めての取組みである。
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