シェアリングが地方を変える 共創・共助がつくる新しい経済
日本最大のシェアリングエコノミーの祭典「SHARE SUMMIT 2019」が、11月11日に開催される。同イベントの登壇者でもある福田達夫・衆議院議員と、佐別当隆志・アドレス代表取締役に、シェアリングエコノミーによる地方創生の課題と可能性について、話を聞いた。
大企業、政府の動きも本格化
――日本におけるシェアリングエコノミーの動向を、どう見ていますか。
佐別当 シェアリングエコノミー協会が設立された2015~16年の頃、シェアリングは既存産業との軋轢を生む「グレーなビジネス」というネガティブな印象も強くありました。しかし、ここにきて潮目が変わり始めており、大企業の参入も本格化しつつあります。インバウンド需要を見込んで民泊が増えるなど、人やお金が地方へと流れる仕組みとして、自治体の関心も高まってきました。
福田 政治の分野でも認知度は高まってきています。内閣官房に「シェアリングエコノミー促進室」が設置されたのが2017年1月。政府による成長戦略の重点施策の1つにシェアリングエコノミーが位置付けられ、永田町でもその重要性が理解されるようになっています。一方、全国各地の約1700ある基礎自治体のうち、シェアリングエコノミーに取り組んでいるのは、まだ一部にすぎません。
私は、「シェアリングエコノミーとは、"人が豊かに生きるための新しい手法"だ」と考えています。かつての高度経済成長期、日本は右肩上がりで発展し、不便があったら、新しいものをつくることで解決してきました。その一方で、既にあるモノを使いこなす知恵や文化を育んできませんでした。
今、この国にはモノがあふれています。「私たちの地域には何もない」と語るような地方でも、何かがある。その地域の人には無価値に見えても、違う見方の人には価値ある資源ということもある。シェアリングエコノミーとは資源の価値発見の手法であり、社会の成熟度を高めると思います。
地域における普及の課題とは
――シェアリングエコノミーを地域で浸透させるために、どういった課題があると見ていますか。
佐別当 日本では企業が提供する商品・サービスの質が非常に高く、安全・安心のレベルも高い。実はそれがシェアリングエコノミーの障壁になっています。例えば、中国や東南アジア、南米などでは、既存のサービス品質が低いため、テクノロジーを活用したシェアサービスのほうが安心という背景があって、普及が促進されました。日本は成熟社会ならではの課題を抱えていると言えます。
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