2019年11月号
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MPDの本棚

『掘り起こせ! 中小企業の「稼ぐ力」』ほか地域活性化の注目書

月刊事業構想 編集部

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地域再生の要となる
「エフビズモデル」

著者の小出宗昭氏は、静岡銀行や県の創業支援施設でインキュベーション業務を経験、起業家創出と地域産業活性化に向けた活動は国から高い評価を得、Japan Venture Award 2005(主催:中小企業庁)経済産業大臣表彰を受賞した。2008年、静岡銀行を退職後に株式会社イドムを創業するとともに、富士市産業支援センターf-bizの運営を受託し、1,500件以上の新規事業立ち上げを支援した実績を持つ。過去10冊近くに及ぶ著作や各地での講演、メディア出演を経て上梓する本書は、新書としては異例の分厚さをもつ体系書となっている。

2008年に静岡県富士市で立ち上げた中小企業支援組織・f-biz(以下、エフビズ)は、同地域の中小企業の「稼ぐ力」を掘り起こすことで売上を伸ばし、まち全体を衰退から救う実績を上げてきた。小出氏自身、その実績は折に触れ著作で論じてきたが、本書は「理論編」「実践編」「事例編」「組織編」の四部から成り、こうしたエフビズの成功をどう全国に波及させ地域再生につなげるか、具体的なポイントにまとめて紹介している。

特に、地域企業が直面する資金調達の課題に照らせば「即効性あるアイデアでイノベーションを起こせば、売上は伸ばせる」という指摘は大きい(49ページ)。常に発着想の種を貪欲に探し求め、それが芽を出すよう知恵を絞る営みは、事業構想にも通じるといえよう。

巻末には地域エコノミスト・藻谷浩介氏との対談を収録している。資格や経験に捉われない「人材」の見出し方、金銭的多寡に限られない価値の見出し方、そしてよい意味での向上心に火を点け、「いまよりもよくありたい」という情熱を巻き起こすこと。これらが忌憚ない言葉で率直に交わされている。

成功の鍵は「人材」にあり

「エフビズモデル」は、自治体首長の決断を起点とした行政プロジェクトだ。従来の銀行(地域金融機関)による中小企業支援とは異なり、行政の関心を向けさせるまでは地元住民の責任であるが、以降の展開は、自治体が自分事として戦略を描けるかが成否を分ける、と著者は説く。

「エフビズ」を模した事業モデルは、設置中のものを含めると全国で25カ所に上るという(本書359ページ)。北は北海道釧路市から、南は長崎県壱岐市まで、地域に応じた幅広い特徴を発揮しているが、各ビズのセンター長は大都市圏での社会人経験をもちながらも地域に心を寄せ続け、キーパーソンとして事業を動かした人物ばかり。このように「人材」を起点として成功が相次ぐことは、事業モデルの普遍性を証明するものだ。

掘り起こせ! 中小企業の「稼ぐ力」

――地域再生は「儲かる会社」作りから

  1. 小出 宗昭(著)
  2. 2019年8月発行
  3. 本体880円+税
  4. 光文社

残り49%

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