顧客を虜にする手法『カスタマーサクセスとは何か』ほか注目新刊
――本書執筆の動機は何でしょうか。
2017年にスタンフォード経営大学院の起業家育成プログラムであるIgniteに参加するためシリコンバレーに滞在した際、カスタマーサクセスに出会いました。アメリカ合衆国ではこの概念が定着している一方で、日本ではこの言葉すら誰も知らない事実に衝撃を受け、書いて伝えることでギャップを埋めたいと考えました。
――特に期待する読者層は誰ですか。
売り切りモデルからリテンションモデルへの転換が不可避的に生じた要因はデジタル化です。ですが、眼前のテクノロジーの変化にのみ目を奪われることなく、大きな波を捉え、自分たちの事業ドメインにどう影響するかを掴むことが重要です。その意味で本書は、ミドルクラス以上の経営陣、また将来を担う若い人に読んでいただきたいです。この考え方に馴染んでいただけるよう、日本のドラマ等を比喩に用い、日本の企業事例も多く取り入れました。
――御著書の特徴とは何でしょうか。
刊行後間もなく頂いた反響も踏まえると、本書の特徴は3つ挙げられると考えています。
まず転換のメカニズムを1枚の絵で俯瞰的に示し、13個のトレンド、4つのループ、5つの原則で整理し指針を示したことです(39ページ)。
次に、カスタマーサクセスとは、単なるチャーン(解約)の抑制やSaaS(Software as a Service)にとどまらない、商品を売った後の顧客への価値提供であることを、サブスクリプションモデル(サブスク、課金モデル)に代えて「リテンションモデル」と表して示しました。更にそれは「顧客を虜にし、成功を届ける」状態であり、企業経営の成否をも握るものです。
また今後は、カスタマーサクセスの熟知と徹底だけでなく、プロダクト自体が優れていることも一層重要です。よって、カスタマーサクセスとプロダクションなどのように、組織内で部署を超えた連携が不可欠になります。
将来の企業は、規模の大小を問わず、カスタマーサクセスなくしては成長しません。英語圏の先端動向は、私のウェブサイト(https://success-lab.jp/successjp)でも随時ご紹介しています。併せてご覧ください。
カスタマーサクセスとは何か
――日本企業にこそ必要な
「これからの顧客との付き合い方」
- 弘子 ラザヴィ(著)
- 本体1,800円+税
- 英治出版
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