2019年8月号
購読申込み のあとに ログイン していただくと全文をご覧いただけます。

女性活躍の新プロジェクト

人がいるところに仕事を移動 育児中女性が活躍する職住近接オフィス

渡辺 順也(社会情報大学院大学 准教授/イノベーター・ジャパン 代表取締役)

0
​ ​ ​

女性活躍やダイバーシティ推進は、政府が掲げる方針である以上に、企業にとっても有能な働き手を確保し、職場を活性化するための重要事項である。「人がいるところに、仕事を移動する」新たなプロジェクトを紹介する。

&donuts 柏の葉オフィス メンバーの子供が学校帰りに立ち寄ることもしばしば

本当の「女性活躍社会」とは

日本において、女性が活躍する社会とはどのようなものだろうか。正社員として就業すること、管理職のポストに就くこと、結婚・出産後も退職しないこと――。

女性の非正規雇用率は55%以上におよび、課長職以上のポストに就く女性管理職比率は10%程度、女性が定年まで同じ会社に勤務する割合は7%未満といわれ、こうした状況下においても、すでに女性の社会進出はある程度なされており、一昔前と比べれば女性を取り巻く労働環境および雇用状況は変わったと見做されることもあるだろう。しかし、多くの女性たちは、とりわけ結婚・出産などのライフステージの変化を経験した女性たちは、数字として示されない部分で悩みながら、働き続ける術を模索している。

イノベーター・ジャパンでは、「人のポテンシャルを最大限に引き出す」というミッションを掲げている。そのミッション実現に向けた試みのひとつとして、「&donuts(アンドーナツ)プロジェクト」はスタートした。「東京ではない」あるいは「東京にはない」場所で成長を始めたこのプロジェクトには、これまでの切り口とは異なる、新たな「女性活躍社会」のかたちがある。

「人がいるところに
仕事を移動する」

私が「&donutsプロジェクト」の立ち上げを決意したのは、「保育園問題」がきっかけだった。

人口集中が増すばかりの東京では「待機児童」が深刻化している。当社においても、子供を保育園に預けることがかなわず、社員の職場復帰が困難となるケースが生じた。さらに、周囲の子育て世代においては、保育園を求め郊外へ引っ越すことを選び、往復3時間かけての通勤や都内企業への就業を諦めるケースが見受けられた。なかでも、母親になった女性が長時間通勤や職場復帰を見送る傾向は顕著であり、彼女らの築き上げてきたキャリアが途切れてしまう現状には歯がゆさを覚えた。同時に、郊外への労働力人口および優秀人材の流出があることを強く実感したといえる。

すでに東京本社のほか、福岡やデンマークなどへの多拠点化をはかり、リモートワークも導入していた当社において、「ITの活用」をもって郊外の潜在能力を活性化する構想を練ることは、難しいことではなかった。デンマークのビジネスデザインスクール「KAOSPILOT」からのインターンシップ生たちと、女性の就業問題についてリサーチを行ったことも、プロジェクトの推進力を増すトリガーとなった。

1. 仕事のあるところに人が移動するのではなく、人がいるところに仕事を移動する。

2. 育児中の女性が多いエリアにオフィスをつくり、働くだけではなく、コミュニティや教育などの付加サービスを提供する場を形成する。これを、「&donutsプロジェクト」の基本コンセプトとすることにした。

残り56%

0
​ ​ ​

バックナンバー

メルマガで記事を受け取る

メルマガ会員限定で、
ピックアップしたオンライン記事を
毎日お届けします。

以下でメルマガの登録ができます。

購読申し込みで全記事が読める

2018年4月号「SDGs×イノベーション」完売!

会員になって購読すれば、バックナンバー全記事が読めます。PC・スマートフォン・タブレットで読める電子ブックもご用意しています。

バックナンバー検索

注目のバックナンバーはこちら

最新情報をチェック。

会員になると 最新「事業構想」が読み放題。さらに

会員の特典をもっとみる