2019年7月号
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産官学共創のキーファクター

共創によるイノベーション 横浜市の方法論とビジョンとは

河村 昌美、中川 悦宏(横浜市共創推進室)

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連載最終回では、横浜市での「共創」の位置付けやビジョン、そして、これまで培ってきたノウハウに基づく実務面での考え方等を紹介する。これらは、民間と行政が共創を現実的に進めていくために欠かせないキーファクターである。

今後、より複雑化・多様化していく社会や地域の課題解決には、もはや行政だけで対応することは難しく、民間との共創的アプローチが不可欠という点は、既に大勢が認識だと思われる。しかし、組織の目的やルール、風土等を異にする民間と行政の共創には、制度的また心理的に様々なハードルが存在している。これらを越え、両者の共創を進展させてきた横浜市の方法論の一部を実践をもとに紹介する。

横浜市における
共創の位置付けとビジョン

横浜市の共創推進は、専任組織「共創推進事業本部(現:共創推進室)」の設置(2008年)に始まる。同本部では、まず庁内外での共創への理解を深め、目的を共有化するために、共創の基本を定めた「共創推進の指針」を策定した。それを基本認識として実験的・実践的に実績とノウハウを蓄積しながら、その成果を踏まえ、基本計画において政策的に共創の推進を位置付けてきており、現行の「横浜市中期4か年計画2018~2021」でも、計画の策定・推進にあたっての基本姿勢の一つとして「オープンイノベーションの推進」を掲げている。そして、将来ビジョンとして、より積極的に市内外の様々な民間主体・プラットフォームとのネットワークを構築することで、各種分野の課題解決に向けての共創が市内各所で行われる都市をイメージしている。(図1)

図1 オープンイノベーションで目指す横浜の姿(イメージ)

 

共創の推進には、様々な民間主体そして行政の各専門部署の協力・連携が不可欠である。そのためには、これらのファクターを明確化し、ステークホルダーの認識や目的の共有化を図ることが重要である。

共創事業の実務的ポイント

共創事業を実務的に進めるためには、前述のような広い・理念的ファクターと共に、次のような個別的・実態的な考え方を整理・構築することも必要である。

(1)共創事業の類型

横浜市では、共創フロントを通じて実現してきた約350件の事例から、共創事業においては①包括的な連携協定、②個別事業での連携、③連携の場の提供、④権利・資産の活用、⑤民間主体の事業の支援、の5つの類型があると考えている。まず、共創事業を構想するにあたっては、これらの類型を柔軟に組み合わせ、個々の共創の目的に応じた適切な事業の形をイメージすることが重要である。

(2)共創事業具体化に必要な視点(図2)

図2  共創事業創出のための「4つの視点」

 

イメージされた共創事業を具体化するには、4つの視点(①目的、②人的資源、③物的・知的資源、④適正手続)の充足が不可欠であるが、行政が関わる共創事業においては特に①と④が重要になる。①は、当該共創の目的が「公益性・公共性」、「法令や計画、施策等との整合性」、「住民や株主等の理解」「メリット」などの視点から、共創当事者が合意でき、適切なストーリーが描けるか。④の適正手続は、共創事業の契約内容やスキームに応じたレベルでの手続的適正が確保できているか※2。を意味する。高度な公益性・公共性の確保が必要な共創事業では、この二つの視点が曖昧な場合、事業が破綻するリスクが高まることに留意が必要である。

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