『ストリートデザイン・マネジメント』ほか注目の新刊
――なぜストリートに着目しましたか。
出口 ストリートは都市の活気を測るバロメーターであり、かつ身近な公共空間です。国内外でも各地域が「みちづくり」に力を入れています。私たち著者の間には「ストリートは地域を映す鏡であり眼鏡だ」という共通認識がありました。
――ストリート・デザイン・マネジメ ントという方法論の意義は何ですか。
三浦 街の活性化に際しては街路の活用法を見直すことが必要です。既に米国ニューヨークやドイツの都市などでは、自動車から歩行者にストリートをひらいていく潮流が現れています。国内都市も、メインストリートでそうした動きがありますが、今後取組を軸線からネットワークに広げていくように、一度体系的にまとめたいと考えました。
――紙の書籍という媒体上で表現する際に工夫された点は何ですか。
出口 全ての事例に共通して、「配置図」と断面(構造)、組織図(ストリートを活用していく仕組み)を入れるように配慮しました。これらの特徴を基に細かな類型化も試みています(165ページ・図)。
――書籍の刊行を機に、今後の展開をどう構想されていますか。
出口 2000年代に小泉内閣により都市再生が唱えられ、全国各地で社会実験が行われました。しかし継続した取組として続けるのは難しく、厳格な法規制を緩和する、地域の合意形成を得る、など幾つかのハードルがあります。元来、ストリートは地域の軸であり、新しいビジネスが生まれてくる場だと思います。今後そのマネジメントが普及すれば、ストリートを活用していく職能も生まれてくると期待しています。
三浦 5月に「i-love-street.com」というポータルサイトを開設しました。プレイヤー(みちに興味を持つ方)むけにデータベースを充実させ、逆にプレイヤーからも、情報を提供してもらう、という双方向的な運用を考えています。また「みちづくり」に関わるデザイナー・研究者・実務家が自分たちの知見をアーカイブする機能を持たせ、理論と実践の両面で発信を図りたいと考えています。
ストリート・デザイン・マネジメント
――公共空間を活用する制度・組織・プロセス
- 出口敦・三浦詩乃・中野卓(編著)
- 2019年3月
- B5・175ページ
- 学芸出版社刊
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