携帯型自動翻訳機 対決! フューチャーモデル vs. ログバー

言語のボーダーレスを目指す、携帯型の自動翻訳機は、さまざまなタイプが登場し、アプローチも多様だ。AIを駆使したオンライン翻訳機、あえてオフラインの機動性を重視した翻訳機、実機のスペック比較を通じて、それぞれの方向性を見る。

言葉の壁を乗り越える、二つの方法論

楽天インサイトが2016年に実施した調査によると、「英語が苦手」「とても苦手」という人は69.6%にのぼったという。グローバル化の時代、さしあたって目の前の外国人とコミュニケーションをとらなければならないという状況は増えるが、概して外国語が苦手な日本人は、途方に暮れるほかはない。

ところが昨今、強力な翻訳エンジンを搭載して音声から自動翻訳する手のひらサイズの製品が充実してきて、買い物や旅行など、こみいった会話を必要としないシーンでは、かなり活用できるようになってきた。

2009年設立のフューチャーモデルは、Bluetoothスピーカーや、輝度・色を調節できるLEDライト、国内最小・最軽量のカードサイズSIMフリー携帯電話などを、クラウドファンディングを通じて商品化したあと、2018年にAI自動翻訳機「ez:commu(イージーコミュ)」を開発。クラウドファンディングサイト「MAKUAKE」での先行販売を経て、家電量販店などに展開している。

「ez:commu」は48ヶ国語に対応、翻訳アプリや従来のクラウド型翻訳機と違って、1言語について4つの翻訳エンジンを参照することで高い翻訳精度を確保しており、2人から複数人でのグループ翻訳もできて、それぞれが自国語の翻訳を画面で見られる。1:1翻訳に特化したシンプルな41ヶ国後対応モデル「PERARK」も展開している。

2013年設立のログバーは、2014年、米国のクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で支援を募集して指輪型ウェアラブル端末を商品化、2016年にスティック型の自動翻訳機「ili(イリー)」を開発、2017年からは法人向けモデルの「ili PRO」と関連サービスも提供している。

iliの最大の特徴は、インターネットにつながないオフラインでの翻訳に特化していることだ。日本語から英語、中国語、韓国語に訳してスピーカーで伝えるワンウェイ翻訳に徹し、主に海外旅行での利用を想定して、旅行のシチュエーションに特化した辞書を充実させている。ネット環境に依存しないので、Wi-Fiスポットや回線を探したり、アプリを立ち上げたりする面倒がなく、目の前のシチュエーションにすぐ対応できる。吉田卓郎CEOによると、当初は翻訳アプリによる双方向翻訳も目指していたが、実証実験の結果、ネット環境が必要なことにまつわる手間などを考えると、オフライン/一方向のシンプルな設計のほうが機動的で、使用頻度も高くなることがわかったのだという。利用者目線を第一に考えたその成果は、確実に出ているようだ。

自動翻訳機は、利用目的に合わせて選べるほど選択肢が増えてきた。国境を越えた円滑で気軽なコミュニケーションの実現に向けて、今後も、斬新なアイデアを携えたスタートアップがどんどん現われることに期待したい。

両社概要

フューチャーモデル

設立 2009年9月
所在地 東京都新宿区
 中国支社:深セン市
代表 曲 亮(代表取締役社長)
資本金 1,000万円
主な事業 ●電話通信機器関連製品の開発・製造・輸出入・販売

出典:同社ホームページ

 

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