横浜市の共創事業 「対話」でオープンイノベーションを加速

連載2回目は、横浜市がオープンイノベーションを加速させるために運用している様々な仕組みを紹介する。「対話による創造」をコンセプトに、全国に先駆けて構築・運用してきた、まさに共創事業創出のキーファクターである。

横浜市では、共創という言葉を「課題解決に向けた、オープンな対話によるイノベーション創出」と位置付けている(図1)。部署の名称も「公民連携推進室」ではなく「共創推進室」としており、単なる連携ではなく、あくまでもイノベーション創出を目的とした組織運営をしている。今回は、共創のファーストステップである「対話」にフォーカスし、民間サイドからの連携ニーズを汲み上げ、共創事業を形にしていくために運用している各仕組みを紹介する。

図1 共創の考え方

横浜の「共創」の考え方は、対話よる新たな価値の創造を基本としながら、公と民それぞれが利益を得られるWIN-WINを目指す

 

公民連携の水先案内
「共創フロント」

「行政に連携の提案をしたが、所管部署に取り合ってもらえなかった」という話は、全国各地でよく起こっている現象ではないだろうか。横浜市では、この状況を「せっかく提案していただける機会を無駄にするのはもったいない」と捉えて、公民連携に関する相談・提案の総合窓口を全国に先駆けて11年前に設置した。ホテルのフロントをイメージしたもので、横浜市となにか連携したいことがあれば、いつでも相談・提案を受け付ける。いただいた提案については、共創推進室が公と民の間に入るコーディネーターとなり、最適な形での連携を共に目指す(図2)。2019年5月号で紹介した事例もこの仕組みにより実現したものだ。

図2  共創推進室の役割

共創推進室が公と民の間に立ち、行政サイドのハブの役割を担っている。民間サイドからの提案を受ける窓口を担うと同時に、行政内部の課題を抽出して提示する取り組みも行っている

 

現実的な未来を考える場づくり「共創ラボ」についても紹介したい。共創フロントが基本的に1企業との対話であるのに対し、共創ラボでは、複数の企業や団体での対話により、横浜の未来に向けた様々な問いや課題に対するアクションを議論するのが共創ラボである。これは、「横浜型フューチャーセッション」のような対話手法で、現実的な未来を公民双方の立場から議論し、イノベーションのヒントを得ることを目指す。直近の共創ラボ「英オリパラのレガシーに学ぶ 横浜インクルーシブデザイン」は本誌2019年4月号(WEB記事もあり)にレポートが掲載されているので、具体的な参考例としてぜひそちらをご覧いただきたい。

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