豊岡鞄、東京駅KITTE店を開業 地域ブランドの未来を拓く

兵庫県豊岡市は鞄づくりで日本一の生産量を誇り、その歴史は1000年以上前に遡る。2020年東京オリンピック・パラリンピックを前に、昨年9月には東京駅前で、世界に向けて「豊岡鞄」の魅力を発信していく旗艦店もオープンした。

植村 賢仁(豊岡K-site合同会社 代表)

日本一の生産量を誇る
鞄の産地、兵庫県豊岡市

兵庫県豊岡市は、日本一の生産量を誇る鞄の産地だ。そのルーツは柳細工で作られたカゴといわれ、1000年以上の長い歴史がある。特に江戸時代には、豊岡藩の独占取扱品として柳で編んだ箱形の入れ物「柳こうり」の生産が盛んになった。

1000年にわたる歴史を持つ伝統の柳こうり

また、戦後の岩戸景気の時期には、地元に300以上の鞄関連企業が生まれ、鞄産業は全国生産の8割のシェアを占めるほどに発展した。その後は円高に伴う安価な輸入品の流入によって危機的な状況にも陥ったが、現在も市内では180社以上の関連企業が活動する。しかし、豊岡市が日本一の鞄の産地であることは、広く知られているとはいえない。

「従来、豊岡の鞄生産で大半を占めてきたのは、他社ブランドで製品を作るOEM生産でした。このため、豊岡の名はあまり消費者に知られていませんでした。そこで私たちは2006年に『豊岡鞄』という地域ブランドを立ち上げ、豊岡が鞄の産地であることを全国に伝える活動を展開してきました」

豊岡K-site合同会社代表の植村賢仁氏は、こう語る。豊岡鞄のブランドは登録商標として、2006年に特許庁によって認定された。このブランドは、地元企業の中でも兵庫県鞄工業組合が定めた基準を満たす企業が生産し、厳しい審査に合格した優良品だけが名乗ることができる。

さらに昨年9月には、豊岡鞄の良さを世界にアピールしていくため、初の旗艦店となる「豊岡鞄KITTE丸の内店」が東京駅前にオープンした。

「これまでの活動を通じ、豊岡鞄の知名度は関西や九州ではかなり上がったと感じますが、関東ではまだまだ知られていません。このような中で、東京駅前への出店のお話をいただきました。2020年東京オリンピック・パラリンピックも控え、良い時期の出店になったと思います」

豊岡鞄KITTE丸の内店には、認定企業12社による個性豊かな製品が並ぶ。メンズ、レディース共にあり、ビジネス向けからカジュアル、旅行鞄や財布、革小物まで120点以上の幅広い品揃えとなっている。

「老若男女を問わず、お店に来られた方には何かしら目につくものがあるのが、豊岡鞄の良いところだと思います。年齢や男女でターゲットを絞らないブランドなので、逆にお客様に受け入れられていると感じます」

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り59%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。